春の和菓子の代表的な種類一覧|月別の行事菓子も解説

春の和菓子の代表的な種類一覧|月別の行事菓子も解説 季節の和菓子

最終更新: 2026-05-10

日本の和菓子は四季の移ろいと深く結びついていますが、なかでも春は最も華やかな和菓子が揃う季節です。桜餅や花見団子のように誰もが知る定番から、菱餅やあこやのように節句行事と結びついたものまで、春ならではの和菓子は実に多彩です。

「春の和菓子にはどんな種類があるの?」「お花見や手土産にはどれを選べばいいの?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、3月から5月にかけて楽しめる代表的な春の和菓子を月別のカレンダー付きで網羅的に紹介します。まず春の和菓子の全体像を整理し、次に各和菓子の由来や特徴を詳しく解説、最後に茶席や手土産などシーン別の選び方までお伝えします。

春の和菓子とは?四季の中で最も華やかな季節

春の和菓子とは、一般的に3月から5月にかけて作られ、販売される季節限定の和菓子を指します。桜や梅、新緑といった春の自然をモチーフにしたものや、ひな祭りや端午の節句といった行事に合わせた菓子がこの時期に集中します。

項目 内容
時期 3月上旬〜5月下旬(地域によって前後あり)
特徴 桜・梅・蝶など春のモチーフ、淡いピンクや若草色の色彩
主な素材 よもぎ、桜の葉・花、道明寺粉、柏の葉、抹茶
代表的な行事 上巳の節句(3/3)、お花見(3月下旬〜4月)、端午の節句(5/5)

和菓子の世界では「菓銘」という名前に季節感を込める伝統があり、春には「花衣」「春霞」「花筏」など、情景を思い浮かべられるような美しい名前が付けられます。こうした菓銘の文化は、和菓子と茶道が深く結びついてきた日本の和菓子の歴史のなかで育まれてきました。

春の和菓子 月別カレンダー

春の和菓子は月ごとに主役が入れ替わります。以下のカレンダーで全体像をつかんでおきましょう。

代表的な和菓子 関連行事
3月 菱餅、草餅(よもぎ餅)、桜餅、ひなあられ 上巳の節句(ひな祭り)
4月 花見団子、桜の練り切り、桜羊羹、長命寺餅 お花見
5月 柏餅、ちまき、あこや、いが餅 端午の節句

このように、春の和菓子は単なるスイーツではなく、日本の年中行事や自然観と密接につながった文化的な存在です。

代表的な春の和菓子10選|由来・特徴を徹底解説

ここからは、春を代表する和菓子を一つずつ詳しく見ていきましょう。

1. 桜餅(さくらもち)

春の和菓子の代名詞ともいえる桜餅は、あんを餅で包み、塩漬けの桜の葉で巻いた和菓子です。実は桜餅には「関東風」と「関西風」の2種類があり、見た目も食感もまったく異なります。

比較項目 関東風(長命寺) 関西風(道明寺)
生地 小麦粉を焼いたクレープ状 道明寺粉を蒸したつぶつぶ食感
形状 巻き型 丸型(おはぎ状)
発祥 享保2年(1717年)東京・長命寺 大阪・道明寺に由来する粉を使用
全国シェア 約3割 約7割

関東風の桜餅は、江戸向島の長命寺で門番をしていた山本新六が、隅田川沿いの桜の落ち葉を塩漬けにして餅を包んだのが始まりとされています(享保2年、1717年)。一方、関西風に使われる道明寺粉は、大阪府藤井寺市の道明寺で保存食として作られた「糒(ほしいい)」がルーツです。

桜の葉を食べるかどうかは好みが分かれるところですが、葉の塩気と餡の甘さのバランスを楽しむのが通の味わい方です。自宅で桜餅を手作りしてみたい方は、桜餅の簡単レシピも参考にしてください。

2. 草餅(くさもち)・よもぎ餅

鮮やかな緑色とよもぎの爽やかな香りが特徴的な草餅は、春の訪れを五感で感じられる和菓子です。

もともと草餅に使われていたのはよもぎではなく、春の七草の一つ「母子草(ゴギョウ)」でした。しかし、母と子を臼で搗き混ぜるのは縁起が悪いという理由から、やがてよもぎに替わったと伝えられています。平安時代の文献『日本文徳天皇実録』にもその名が登場するほど、古い歴史を持つ和菓子です。

3月3日の上巳の節句には、けがれを祓う意味で香りの強い草を混ぜた餅を食べる習わしがあり、草餅はひな祭りの行事食としても親しまれてきました。

3. 花見団子(はなみだんご)

ピンク・白・緑の三色が串に刺さった花見団子は、お花見の定番和菓子です。三色の配色には複数の意味が込められています。

意味(季節説) 意味(桜説)
ピンク 桜の咲く春 桜のつぼみ
雪の降る冬 満開の桜
葉が生い茂る夏 散った後の葉桜

三色に「秋」がないのは「飽きない」にかけたシャレだという説もあり、昔の人の遊び心が感じられます。

花見団子の文化は、1598年(慶長3年)に豊臣秀吉が京都・醍醐寺で催した「醍醐の花見」がきっかけで広まったとされています。約1,300人が参加し、全国から銘菓が集められたこの花見は、桜の木を約700本も移植するという壮大な規模のものでした。

4. 菱餅(ひしもち)

ひな祭りの雛壇に飾る菱餅は、ピンク・白・緑の三層からなる菱形の餅菓子です。それぞれの色には意味があり、ピンクは魔除け(くちなしの実で着色)、白は清浄(菱の実入り)、緑は健康・長寿(よもぎ入り)を表しています。

菱形をしているのは、繁殖力の強い菱の実をかたどって子孫繁栄を願うためとされています。現在では飾り用の菱餅だけでなく、菱餅をモチーフにした練り切りやゼリーも人気を集めています。

5. 柏餅(かしわもち)

5月5日の端午の節句に欠かせない柏餅は、上新粉で作った餅であんを包み、柏の葉でくるんだ和菓子です。柏の葉には「新芽が出るまで古い葉が落ちない」という特徴があり、家系が途絶えない=子孫繁栄の縁起物として重宝されてきました。

あんの種類は主に3つあります。

あんの種類 特徴 葉の巻き方の見分け
こしあん なめらかな舌触り 葉の表(つるつる面)が外側
つぶあん 小豆の食感が残る 葉の裏(ざらざら面)が外側
みそあん 白味噌の甘じょっぱさ 葉の裏が外側(地域による)

本格的な柏餅を自分で作ってみたい方には、柏餅の本格的な作り方をまとめた記事がおすすめです。

6. ちまき

柏餅と同じく端午の節句に食べられるちまきは、もち米やうるち米の粉で作った餅を笹の葉や茅(ちがや)の葉で包み、蒸した和菓子です。中国の故事「屈原の伝説」に由来し、邪気を祓う力があるとされています。

関西では端午の節句といえばちまきが主流で、京都の老舗和菓子店では毎年4月下旬から5月にかけてちまきの販売が始まります。

7. 練り切り(春の意匠)

練り切りは白あんに求肥を加えて練り上げた生地で、四季折々の自然や風物を表現する上生菓子の代表格です。春の練り切りには以下のような意匠が見られます。

菓銘 モチーフ 時期の目安
初梅 梅の花 2月下旬〜3月上旬
花衣 桜の花びら 3月中旬〜4月上旬
花筏 水面に浮かぶ桜 4月中旬
蝶々 春の蝶 3月〜4月
若草 萌え出る草 4月〜5月

練り切りは茶席の主菓子として使われることが多く、季節を先取りした意匠を選ぶのが茶道のならわしです。茶道での和菓子の選び方では、茶席にふさわしい和菓子の選び方を詳しく解説しています。

8. いが餅

いが餅は、あんを包んだ餅の表面に色付きのもち米をまぶした和菓子で、栗のいが(毬)に見立てた姿が名前の由来です。端午の節句に合わせて作られることが多く、赤や黄、緑などの鮮やかな色合いが特徴です。

主に東海地方や関西地方で親しまれており、地域によって「いがまんじゅう」と呼ばれることもあります。

9. あこや

あこやは、餅やういろうの生地にあんや金団(きんとん)をのせ、貝の形に整えた和菓子です。アコヤ貝(真珠を育む貝)をかたどった神秘的なデザインが特徴で、5月の端午の節句前後に作られます。

あまり知られていない和菓子ですが、京都や名古屋の老舗で見かけることができ、見た目の美しさから手土産にも喜ばれます。

10. 桜羊羹(さくらようかん)

桜の花や葉を練り込んだ桜羊羹は、春限定の羊羹として多くの老舗で販売されます。透明感のある錦玉羹(きんぎょくかん)の中に桜の花びらが浮かぶタイプは、見た目の美しさでも人気です。

日持ちがするため、春のご挨拶や手土産にも適しています。

春の和菓子をシーン別に選ぶ|茶席・手土産・お花見

春の和菓子は種類が豊富なだけに、「どんな場面でどの和菓子を選べばいいのか」迷うこともあるのではないでしょうか。ここでは、和菓子職人や茶道関係者の間で一般的とされる選び方の目安を、シーン別にまとめました。

シーン おすすめの和菓子 選ぶポイント
茶席(薄茶) 練り切り、きんとん 季節を少し先取りした意匠を選ぶ
茶席(濃茶) 薯蕷饅頭、羊羹 控えめな色合いで上品なものを
お花見 花見団子、桜餅、草餅 手で食べやすく、持ち運びしやすいもの
手土産(目上の方へ) 桜羊羹、老舗の練り切り 日持ちするもの、化粧箱入り
手土産(カジュアル) 桜餅の詰め合わせ、草餅 個数が揃いやすく分けられるもの
節句のお祝い 菱餅(3月)、柏餅(5月) 行事に合わせた伝統菓子を

実際に茶席で和菓子を選ぶ際には、その日の茶花や掛け軸のテーマと和菓子の菓銘が重ならないよう配慮するのがマナーとされています。たとえば、床の間に桜の花が活けてある場合は、桜の練り切りではなく蝶々や花筏を選ぶといった心遣いが求められます。

春の和菓子が買える場所と価格帯

春の和菓子は老舗の和菓子店だけでなく、百貨店やスーパーマーケットでも購入できます。

購入先 価格帯(1個あたり) 特徴
老舗和菓子店 300〜600円 職人手作り、季節感のある意匠
百貨店の和菓子売り場 250〜500円 複数ブランドから選べる
スーパー・コンビニ 100〜250円 手軽に楽しめる、個包装が多い
オンラインお取り寄せ 送料込みで2,000〜5,000円(箱単位) 地方の銘菓も入手可能

Google Maps調べ(2026年5月時点)では、東京都内に和菓子店が30件以上、京都市に27件、金沢市に21件が登録されており、いずれの都市でも平均評価4.3以上と高い評価を得ています。春は各店が季節限定商品を展開する時期でもあるため、店頭に足を運ぶとその時期だけの出会いがあるかもしれません。

春の和菓子を自宅で作ってみよう

春の和菓子のなかには、家庭でも挑戦しやすいものがあります。ここでは、初心者向けに手作りしやすい春の和菓子を難易度別にまとめました。

和菓子 難易度 所要時間 必要な道具
花見団子 初級 約30分 ボウル、竹串、食紅、抹茶
草餅 初級〜中級 約45分 すり鉢(またはフードプロセッサー)、蒸し器
桜餅(道明寺) 中級 約60分 道明寺粉、桜の葉の塩漬け
練り切り 上級 約90分 三角べら、ふきん、裏ごし器

和菓子作りに必要な基本的な道具については、和菓子の道具ガイド(初心者向け)で詳しく紹介しています。

春の和菓子を手作りする際のコツは、よもぎや桜の葉など季節の素材を「旬のうちに仕入れる」ことです。乾燥よもぎや塩漬けの桜の葉は製菓材料店やオンラインショップで通年手に入りますが、生のよもぎは3月から4月の若芽の時期が最も香りが良く、風味豊かな草餅を作ることができます。

春の和菓子に関するよくある質問

Q1: 桜餅の葉は食べるものですか?

食べても食べなくても、どちらでも問題ありません。桜の葉の塩気が餡の甘さを引き立てるため、一緒に食べる方も多いです。ただし、茶席では葉を外して食べるのがマナーとされています。葉が厚く筋が気になる場合は外してもよいでしょう。

Q2: 春の和菓子はいつ頃から店頭に並びますか?

地域や店舗によって異なりますが、早いところでは2月中旬から桜餅や草餅が並び始めます。ひな祭り向けの菱餅やひなあられは2月下旬から、柏餅やちまきは4月中旬から販売されるのが一般的です。

Q3: 花見団子の三色の順番に決まりはありますか?

伝統的には上からピンク・白・緑の順番で串に刺します。桜のつぼみ(ピンク)→満開の花(白)→葉桜(緑)と、桜が咲く過程を表しているとされています。

Q4: 草餅とよもぎ餅は同じものですか?

現在ではほぼ同じ意味で使われていますが、厳密には歴史的な違いがあります。古くは母子草(ゴギョウ)を使ったものを「草餅」と呼んでいましたが、時代とともによもぎに替わり、現在はよもぎを使った餅を草餅と呼ぶのが一般的です。

Q5: 柏餅のあんの種類は葉の巻き方で見分けられますか?

多くの和菓子店では、柏の葉の表面(つるつるした面)を外側にして巻いたものがこしあん、裏面(ざらざらした面)を外側にしたものがつぶあんやみそあんという慣習があります。ただし、すべての店舗で統一されているわけではないので、購入時に確認するのが確実です。

Q6: 端午の節句に柏餅とちまきのどちらを食べるのが正しいですか?

どちらも正式な端午の節句の菓子です。一般的に関東では柏餅、関西ではちまきが主流とされていますが、両方を用意する家庭もあります。柏餅は「子孫繁栄」、ちまきは「邪気払い」と、それぞれ異なる意味が込められています。

Q7: 春の和菓子を手土産にする場合、日持ちはどのくらいですか?

和菓子の種類によって大きく異なります。桜餅や草餅、柏餅などの生菓子は当日中または翌日までが目安です。桜羊羹や干菓子であれば1〜2週間程度持つものもあるため、遠方への手土産には日持ちする和菓子を選ぶとよいでしょう。

関連記事: 花びら餅の意味と作り方|由来から本格レシピまで徹底解説

まとめ:春の和菓子で日本の四季を味わおう

春の代表的な和菓子のポイントを整理します。

  • 春の和菓子は3月の草餅・桜餅から5月の柏餅・ちまきまで、月ごとに主役が移り変わる
  • 桜餅には関東風(長命寺)と関西風(道明寺)の2種類があり、全国的には関西風が約7割を占める
  • 花見団子の三色には季節や桜の開花を表す意味が込められている
  • 茶席では季節を先取りした意匠の練り切りを選ぶのがならわし
  • 手土産には日持ちする桜羊羹や干菓子が適している
  • 草餅や花見団子は家庭でも手作りしやすい入門編としておすすめ

春が過ぎれば、水羊羹や葛饅頭など、涼を感じる夏の和菓子の季節がやってきます。四季を通じて和菓子を楽しむことで、日本の豊かな食文化をより深く味わうことができるでしょう。

まずは、今の時期に店頭に並んでいる柏餅やちまきを味わってみてはいかがでしょうか。

参考情報

  • 農林水産省「うちの郷土料理 桜餅」(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/39_26_osaka.html)
  • ウェザーニュース「桜餅の形、東西の分かれ目はどこ? 全国的には”関西風”が優勢」(2026年2月、https://weathernews.jp/news/202602/280126/)
  • 日本菓子専門学校「三色団子の由来」(https://www.nihon-kashi.ac.jp/campuslife/blog/1049/)
  • JR西日本「和菓子の歳時記」草餅の歴史(https://www.westjr.co.jp/company/info/issue/bsignal/19_vol_183/wagashi/)
  • Wikipedia「桜餅」享保2年(1717年)の長命寺発祥について(https://ja.wikipedia.org/wiki/桜餅)
  • Google Maps調べ(2026年5月時点) — 東京都・京都市・金沢市の和菓子店データ



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