最終更新: 2026-05-20
2024年の日本の農林水産物・食品輸出額は1兆5,073億円を突破し、菓子類は前年比で増加率の大きい品目として注目を集めています(農林水産省 2025年2月発表)。2013年に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されて以降、和菓子への海外からの関心は年々高まっています。
「外国人にはどんな和菓子が人気なの?」「海外で和菓子はどう評価されているの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、外国人に人気の和菓子ランキングから、国・地域別の嗜好の違い、和菓子が海外で評価される理由、そして今後の輸出市場の動向まで、幅広く解説します。まず人気の和菓子を紹介し、次に国別の嗜好を比較、最後に和菓子の海外展開の現状と将来性をお伝えします。
和菓子の海外人気とは?世界が注目する背景
和菓子の海外人気とは、日本の伝統的な菓子が海外の消費者やメディアから高い評価を受けている現象を指します。この流れは2013年の和食ユネスコ無形文化遺産登録を契機に加速しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 注目のきっかけ | 2013年 和食のユネスコ無形文化遺産登録 |
| 輸出市場の成長 | 菓子類の輸出金額指数は2004年比で418.4(2024年時点) |
| 主な輸出先 | アメリカ、香港、台湾、中国(菓子類では中国が約21%) |
| 海外からの評価 | 「食べる芸術品」「自然素材のヘルシースイーツ」 |
和菓子が海外で評価されるポイントは大きく3つあります。1つ目は、四季を表現した美しい見た目です。上生菓子に代表される繊細な造形美は「Edible Art(食べる芸術)」として海外メディアでも取り上げられています。2つ目は、自然素材を中心としたヘルシーな原材料です。小豆、米粉、寒天など植物由来の素材が中心で、添加物や保存料を使わない製法が健康志向の消費者に支持されています。3つ目は、和菓子の歴史そのものが持つ文化的な奥深さです。茶道との結びつきや季節行事との関わりが「日本文化の入口」として関心を集めています。
外国人に人気の和菓子ランキング【調査データで検証】
公益財団法人日本豆類協会が2018年3月にアメリカ、中国、インドネシアなど7か国の在日外国人を対象に実施した調査では、以下のような結果が報告されています。
| 順位 | 和菓子 | 食べたことがある割合 | 「好き」と回答した割合 | 人気の理由 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | たい焼き | 81.6% | 95.3% | 温かい生地とあんのバランス |
| 2位 | どら焼き | 83.3% | 91.3% | アニメ(ドラえもん)の影響が大きい |
| 3位 | 大福 | 75.6% | 94.4% | モチモチ食感への驚きと感動 |
| 4位 | みたらし団子 | 約70% | 約85% | 甘辛い味付けが新鮮 |
| 5位 | わらび餅 | 約65% | 約80% | 独特の透明感と食感 |
出典: 公益財団法人日本豆類協会「和菓子に関する外国人意識調査」(2018年3月実施)
注目すべきは、たい焼きやどら焼きなど「温かい状態で食べる和菓子」が上位に入っている点です。海外のストリートフード文化と相性が良く、屋台やキッチンカーでの販売も増えています。
また、LIVE JAPANが在日外国人17名を対象に行った調査では、「おもち系の和菓子」への支持が特に高い結果となりました。大福、みたらし団子、わらび餅といったモチモチ食感の和菓子が外国人の心をつかんでいます。
一方で、どら焼きが高い認知度を持つのは、アニメ「ドラえもん」の影響が大きいとされています。ドラえもんは世界50か国以上で放送されており、作中でドラえもんがどら焼きを好んで食べるシーンが、外国人のどら焼きへの興味を強く後押ししています。
国・地域別の和菓子の好みと傾向
和菓子の海外人気は一様ではなく、国や地域によって好まれる種類が大きく異なります。以下は、各種調査や現地レポートをもとにした地域別の傾向です。
| 地域 | 好まれる和菓子 | 特徴的な嗜好 | 背景 |
|---|---|---|---|
| 東アジア(中国・韓国・台湾) | 大福、抹茶系菓子、どら焼き | 甘さ控えめ・あんこ許容度が高い | 小豆を使った菓子文化が共通 |
| 東南アジア(タイ・インドネシア) | たい焼き、もち系菓子、団子 | 甘めの味付けが好まれる | ストリートフードとの親和性 |
| 欧米(アメリカ・イギリス・フランス) | 抹茶スイーツ、もち | 見た目の美しさ重視 | 「Mochi」が英語として定着 |
| 中東 | 羊羹、干菓子 | 常温保存できるものが人気 | 宗教上の食事制限に対応しやすい |
東アジア圏では、小豆や餅を使った菓子文化が日本と共通しているため、あんこへの抵抗感が低いのが特徴です。中国は菓子類の輸出額の約21%を占める主要な輸出先で(農林水産省 2024年実績)、抹茶フレーバーの和菓子も特に人気があります。
欧米では「Mochi」という言葉がすでに英語圏で通用するようになっており、アイスクリームを餅で包んだ「Mochi Ice Cream」がスーパーマーケットで広く販売されています。ただし、あんこに対しては「甘い豆」という組み合わせに違和感を覚える消費者も一定数います。
東南アジアでは、日本のわらび餅専門店が海外進出して行列ができるなど、ストリートフードとしての和菓子人気が急成長中です。
あんこが苦手な外国人への理解と対策
和菓子の海外人気を語るうえで避けて通れないのが、「あんこが苦手な外国人が多い」という現実です。LIVE JAPANの調査では「嫌いな和菓子No.1」があんこを使った和菓子だったと報告されています。
| 苦手な理由 | 詳細 | 割合の目安 |
|---|---|---|
| 「甘い豆」への違和感 | 欧米では豆は塩味の料理に使うもの | 最も多い |
| 食感の問題 | つぶあんの粒々感が不慣れ | やや多い |
| 甘さの質の違い | 砂糖の甘さと小豆の甘さのギャップ | 一定数 |
この課題に対して、和菓子業界ではいくつかの対応が進んでいます。1つは、抹茶あんやチョコレートあんなど、海外の嗜好に合わせたフレーバー展開です。もう1つは、あんこを使わないわらび餅やくずもちなど、和菓子の種類の多様性をアピールする戦略です。
現場の声として、海外の日本食イベントで和菓子を提供している職人からは「まず見た目で興味を持ってもらい、抹茶味やフルーツ大福から入ってもらうのがコツ」という声が聞かれます。あんこに馴染みのない層には段階的なアプローチが効果的なのです。
和菓子の海外輸出と市場の最新動向
和菓子を含む菓子類の輸出市場は、着実に成長を続けています。
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 農林水産物・食品輸出額(2024年) | 1兆5,073億円 | 農林水産省(2025年2月発表) |
| 菓子類の輸出金額指数(2024年) | 418.4(2004年=100) | 農林水産省 |
| 米国向け菓子輸出額(2024年) | 66億円 | 農林水産省 |
| 菓子類の主要輸出先 | 中国(菓子類の約21%)、米国(66億円) | 農林水産省 |
和菓子の輸出においては「日持ち」が大きな課題です。上生菓子のような生菓子は当日中に食べることが前提のため、海外輸出には不向きです。そのため、輸出の主力となっているのは羊羹や干菓子、せんべいなど常温で長期保存できる和菓子です。
一方で、ジェトロ(日本貿易振興機構)は「スイーツとしてのわらび餅」で海外市場を開拓する事例を2025年のレポートで紹介しており、冷凍技術や新しいパッケージングによって生菓子系の海外展開も広がりつつあります。
虎屋(とらや)は、パリに1980年から店舗を構えており、40年以上にわたって和菓子の海外発信を続けてきた先駆者です。17世紀からの製法記録を保存しながら現代の嗜好にも対応するスタイルは「Innovating within continuity(伝統の中の革新)」として海外メディアからも評価されています。
和菓子の海外人気に関するよくある質問
Q1: 海外で最も人気のある和菓子は何ですか?
調査によって結果は異なりますが、日本豆類協会の調査(2018年)ではたい焼きが「好き」と回答した割合95.3%で1位でした。認知度ではどら焼きが83.3%でトップです。地域別では、欧米では「Mochi(もち)」の認知度が特に高い傾向にあります。
Q2: あんこが苦手な外国人にはどんな和菓子を勧めればいいですか?
あんこを使わないわらび餅、みたらし団子、せんべいがおすすめです。また、抹茶味やフルーツを使った大福など、馴染みやすいフレーバーの和菓子も喜ばれます。
Q3: 海外に和菓子を手土産として持っていく場合、何がおすすめですか?
日持ちする羊羹や干菓子、個包装のせんべいが定番です。賞味期限が長く、温度管理が不要なものを選ぶのがポイントです。検疫ルールは国によって異なるため、事前に確認しましょう。
Q4: なぜ和菓子は海外でヘルシーだと評価されているのですか?
和菓子は小豆、米粉、寒天など植物由来の原材料が中心で、バターやクリームをほとんど使いません。また、添加物や保存料を使わない伝統的な製法が、健康志向の海外消費者に支持されています。洋菓子と比較すると脂質が大幅に少ないのも特徴です。
Q5: 海外で和菓子の教室や体験はできますか?
近年、海外の日本文化イベントやカルチャースクールで和菓子作り体験が開催されるケースが増えています。練り切りの成形体験は特に人気が高く、2026年5月には早稲田大学ICC主催の和菓子体験イベントが外国人留学生向けに開催されるなど、教育機関での取り組みも広がっています。
Q6: 和菓子の輸出はどのくらい成長していますか?
菓子類全体の輸出金額指数は2004年を100とした場合、2024年時点で418.4と約4倍に成長しています。農林水産物・食品全体の輸出額も2024年に初めて1兆5,000億円を超え、菓子は増加率の大きい品目として農林水産省から報告されています。
まとめ:和菓子の海外人気は今後も拡大が続く
和菓子の海外人気について、重要なポイントをまとめます。
- 和食のユネスコ無形文化遺産登録(2013年)以降、和菓子への海外からの関心は年々拡大している
- 外国人にはたい焼き、どら焼き、大福などモチモチ食感の和菓子が特に人気
- 国・地域によって好まれる和菓子は異なり、東アジアではあんこ系、欧米ではMochiが強い
- あんこ嫌いの外国人も多いが、フレーバー展開やあんこ不使用の和菓子で対応が進んでいる
- 輸出市場は2004年比で約4倍に成長し、今後もさらなる拡大が見込まれる
和菓子の魅力は「見た目の美しさ」「自然素材のヘルシーさ」「文化的な奥深さ」の3つに集約されます。海外の友人や知人に和菓子を紹介する際は、まず見た目で興味を持ってもらい、食べやすいものから試してもらうのがおすすめです。
和菓子の種類や特徴についてもっと知りたい方は、和菓子と洋菓子の違いの記事も参考にしてみてください。また、和菓子の専門用語を知っておくと、海外の方に説明する際にも役立ちます。
参考情報
- 農林水産省「2024年の農林水産物・食品の輸出実績」(2025年2月発表)
- 農林水産省「和食;日本人の伝統的な食文化」ユネスコ無形文化遺産登録ページ
- 公益財団法人日本豆類協会「和菓子に関する外国人意識調査」(2018年3月実施)
- ジェトロ「スイーツとしてのわらび餅で海外市場を開拓」(2025年レポート)
- 全日本菓子協会(ANKA)菓子関係データ


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