最終更新: 2026-07-10
日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2025年の訪日外国人旅行者数は4,268万人に達し、過去最高を更新しました(JNTO、2026年1月発表)。和菓子店の店頭や茶席で、外国の方に「これは何ですか?」と英語で尋ねられる場面は、もはや特別なことではなくなっています。
とはいえ、「大福を英語でどう言えばいいのか」「あんこは red bean paste で伝わるのか」「アレルギーを聞かれたら何と答えればいいのか」と、いざその場になると言葉に詰まってしまう方が多いのではないでしょうか。
この記事では、和菓子を英語で説明するための基本表現から、種類別の英語表現一覧、原材料や製法の伝え方、そして和菓子店の店頭でそのまま使える接客フレーズまで、職人の現場感覚を交えて解説します。まず「和菓子」そのものの英訳を押さえ、次に代表的な25種の一覧表を確認し、最後に説明を印象的にする5つのコツをお伝えします。
「和菓子」は英語で何と言う?基本の3表現

「和菓子」を英語で表現する方法は、大きく分けて3つあります。それぞれニュアンスと使いどころが異なるため、場面に応じて使い分けるのがポイントです。
| 英語表現 | ニュアンス | 適した場面 |
|---|---|---|
| Wagashi | 日本語をそのまま使う固有名詞 | 茶席・専門店・文化紹介 |
| Japanese sweets | 最も広く通じる一般的な表現 | 初対面の説明・カジュアルな会話 |
| Japanese confectionery | ややフォーマルな「日本の菓子類」 | 文書・メニュー表記・業界向け |
近年は sushi や matcha と同じように、Wagashi という言葉がそのまま使われる場面が増えています。海外の料理メディアや高級ホテルのメニューでも Wagashi 表記が定着しつつあり、固有の文化として認知され始めている証拠といえるでしょう。
ただし、初めて和菓子に触れる相手に Wagashi とだけ言っても伝わりません。実際の会話では、次のように組み合わせるのが効果的です。
Wagashi are traditional Japanese sweets, often made from rice, beans, and sugar.
(和菓子は、米や豆、砂糖から作られる日本の伝統的なお菓子です)
この一文には「伝統的であること」「主な原材料」という、外国の方が最初に知りたい2つの情報が含まれています。まずこの基本文を覚えておけば、どんな場面でも会話の入り口が作れます。
そもそも和菓子とは何かという定義や歴史を改めて整理したい方は、和菓子とは何かを解説した記事も参考にしてください。
和菓子の種類別 英語表現一覧【25種】

ここからは、代表的な和菓子25種の英語表現を一覧で紹介します。ローマ字表記をそのまま使い、後ろに短い説明を添えるのが基本の型です。
| 和菓子 | ローマ字 | 英語での説明 |
|---|---|---|
| 大福 | Daifuku | a soft rice cake stuffed with sweet red bean paste |
| どら焼き | Dorayaki | two small pancakes with sweet red bean paste in between |
| 羊羹 | Yokan | a firm jelly made of red bean paste, agar, and sugar |
| 水羊羹 | Mizu-yokan | a soft, chilled red bean jelly for summer |
| 最中 | Monaka | crisp wafer shells filled with red bean paste |
| 団子 | Dango | skewered dumplings made of rice flour |
| みたらし団子 | Mitarashi dango | rice dumplings glazed with a sweet soy sauce |
| 練り切り | Nerikiri | an artistic sweet made of white bean paste, shaped by hand |
| 上生菓子 | Jo-namagashi | premium fresh sweets served at tea ceremonies |
| 饅頭 | Manju | a steamed bun filled with sweet bean paste |
| 煎餅 | Senbei | a savory rice cracker |
| 落雁 | Rakugan | a dry, molded sweet made of rice flour and sugar |
| わらび餅 | Warabimochi | a jelly-like sweet made from bracken starch, coated with soybean flour |
| 桜餅 | Sakuramochi | a pink rice cake wrapped in a pickled cherry leaf |
| 柏餅 | Kashiwamochi | a rice cake with bean paste, wrapped in an oak leaf |
| おはぎ | Ohagi | a rice ball covered with sweet red bean paste |
| たい焼き | Taiyaki | a fish-shaped cake filled with sweet red bean paste |
| 今川焼 | Imagawayaki | a round grilled cake filled with red bean paste |
| あんみつ | Anmitsu | agar jelly cubes served with fruits, red bean paste, and syrup |
| ぜんざい | Zenzai | a sweet red bean soup with grilled rice cake |
| 葛切り | Kuzukiri | chilled arrowroot starch noodles served with brown sugar syrup |
| 琥珀糖 | Kohakuto | a crystal-like candy made of agar and sugar |
| 金平糖 | Konpeito | tiny star-shaped sugar candies |
| 八つ橋 | Yatsuhashi | a cinnamon-flavored sweet from Kyoto |
| 甘納豆 | Amanatto | beans simmered in syrup and coated with sugar |
この一覧で押さえておきたいのは、無理にすべてを英語に置き換えないという姿勢です。Daifuku を「Japanese rice cake dessert」と言い換えるより、「Daifuku is a soft rice cake stuffed with sweet red bean paste.」と固有名詞のまま説明したほうが、相手の記憶にも残ります。
説明のコツは「形状 → 中身 → 食感」の順番
上の一覧をよく見ると、英語の説明には共通の型があることに気づきます。それは「形状(cake / jelly / bun)→ 中身(filled with / made of)→ 補足(食感や場面)」という順番です。
例えば練り切りなら、次のように段階的に説明できます。
- 一言で: Nerikiri is an artistic Japanese sweet.
- 詳しく: It is made of white bean paste and shaped by hand into seasonal motifs like flowers.
- 職人視点を添えて: Craftsmen express the four seasons in a single small sweet.
編集部が京都の和菓子店を取材した際、店主が外国人客に練り切りを「edible art(食べられる芸術)」と紹介したところ、その一言で客の表情が変わり、写真を撮ってから大切そうに味わう姿が印象的でした。正確な翻訳よりも、相手の心が動く一言を選ぶことが、現場では何より効果的です。
和菓子の名前の由来や美しい菓銘の世界については、和菓子の名前一覧の記事で詳しく解説しています。
原材料・道具を英語で伝える|アレルギー対応は必須知識

外国の方への説明で最も重要なのが、原材料の伝え方です。宗教上の理由や食習慣、アレルギーによって食べられないものがある方は少なくありません。和菓子店で働く方はもちろん、手土産として渡す場面でも、以下の表現は必ず押さえておきましょう。
| 原材料 | 英語表現 | 補足説明 |
|---|---|---|
| あんこ(小豆餡) | sweet red bean paste | made from azuki beans |
| 白あん | white bean paste | made from white kidney beans |
| もち米 | glutinous rice / sticky rice | 「餅」は rice cake |
| 上新粉 | rice flour | 米粉全般は rice flour で通じる |
| 寒天 | agar | a plant-based gelatin made from seaweed |
| 葛粉 | kudzu starch / arrowroot starch | とろみのある食感の説明に |
| きな粉 | roasted soybean flour | 大豆アレルギーの確認に重要 |
| 黒蜜 | brown sugar syrup | わらび餅・あんみつの説明に |
| 抹茶 | matcha | そのまま通じる代表例 |
| 求肥 | gyuhi | a soft, sweet rice dough |
ヴィーガン・アレルギーへの答え方
和菓子の強みは、多くが植物性原料だけで作られている点です。これは海外の方に説明すると必ず驚かれるポイントで、次のフレーズがそのまま使えます。
Most wagashi are plant-based, made only from beans, rice, sugar, and seaweed-based agar.
(ほとんどの和菓子は、豆・米・砂糖・海藻由来の寒天だけで作られた植物性です)
ただし、注意すべき例外があります。どら焼きやカステラの生地には卵と小麦が、饅頭の皮には小麦が使われています。アレルギーを尋ねられた場合は、曖昧に答えず具体的に伝えるのが鉄則です。
- This one contains wheat and eggs.(これは小麦と卵を含みます)
- This is gluten-free, but it contains soybean flour.(これはグルテンフリーですが、きな粉を含みます)
- Let me check the ingredients for you.(原材料を確認しますね)
あんこの種類(粒あん・こしあん・白あん)の違いを英語で聞かれることも多いため、あんこの種類を解説した記事で基礎知識を整理しておくと説明がスムーズになります。
和菓子店でそのまま使える接客英語フレーズ集

英会話教材では「和菓子の紹介文」は学べても、店頭での実践的なやり取りまでは載っていません。ここでは、和菓子店の現場で実際に交わされる場面を想定した接客フレーズを紹介します。和菓子業界で働きたい方、外国人客の多い店舗に勤める方は、この章だけでも覚えておく価値があります。
| 場面 | 英語フレーズ | 日本語 |
|---|---|---|
| 試食を勧める | Would you like to try a sample? | 試食はいかがですか? |
| 日持ちを伝える | It keeps for two days at room temperature. | 常温で2日間日持ちします |
| 要冷蔵を伝える | Please keep it refrigerated and eat it today. | 冷蔵保存で本日中にお召し上がりください |
| 季節限定を伝える | This is a seasonal sweet, available only in summer. | 夏だけの季節限定商品です |
| 食べ方を説明する | It goes perfectly with green tea. | 緑茶と一緒に食べると最高です |
| 個数を尋ねる | How many pieces would you like? | 何個お包みしましょうか? |
| 贈答用か尋ねる | Is this a gift? We can wrap it for you. | 贈り物ですか?包装できますよ |
| 免税の案内 | Tax-free shopping is available for purchases over 5,000 yen. | 5,000円以上のお買い上げで免税になります |
日持ちの説明は「和菓子ならでは」の重要ポイント
接客の現場で特に重要なのが、日持ちの説明です。生菓子(fresh sweets)は当日中、餅菓子は1〜2日、羊羹や干菓子は数週間から数か月と、和菓子は種類によって賞味期限が大きく異なります。旅行者は持ち帰りに数日かかることが多いため、次のような提案ができると信頼につながります。
If you are traveling, I recommend yokan or senbei. They keep for more than two weeks.
(旅行中でしたら、羊羹やお煎餅がおすすめです。2週間以上日持ちします)
生菓子と干菓子の分類や日持ちの目安は、外国の方への説明でも頻出のテーマです。持ち歩き時間別の選び方は日持ちする和菓子手土産の記事で詳しくまとめています。
和菓子を英語で魅力的に伝える5つのコツ
単語とフレーズを覚えたら、最後は「伝え方」です。編集部が職人や店舗への取材で見てきた、外国の方の心をつかむ説明のコツを5つに整理しました。
1つ目は、洋菓子との対比で説明することです。「Wagashi are less sweet than Western desserts, and you can enjoy the natural flavor of beans.(和菓子は洋菓子ほど甘くなく、豆本来の風味が楽しめます)」という比較は、相手の知っている世界を入り口にできるため、理解が一気に早まります。和菓子と洋菓子の本質的な違いは和菓子と洋菓子の違いを解説した記事で深掘りしています。
2つ目は、季節と結びつけることです。「This sweet represents cherry blossoms in spring.(このお菓子は春の桜を表現しています)」のように、目の前の菓子と日本の四季をつなげると、単なる食べ物の説明が文化の体験に変わります。
3つ目は、五感に訴える形容詞を使うことです。chewy(もちもち)、silky(なめらか)、crisp(さくさく)、delicate(繊細)といった食感の言葉は、味の想像を助けてくれます。特に mochi texture への関心は海外で非常に高く、chewy は必須単語といえます。
4つ目は、数字を添えることです。「This shop has been making sweets for 300 years.(この店は300年間お菓子を作り続けています)」のような具体的な数字は、言葉の壁を越えて伝わる説得力があります。実際、和菓子産業の規模は決して小さくありません。経済構造実態調査(2023年)によると、和生菓子の年間出荷金額は約4,745億円に上ります(2022年実績、e-Stat 統計表ID: 0004028789)。洋生菓子の約9,547億円と比べれば市場は小さいものの、数百年続く老舗が全国に残る産業は世界でも稀有です。こうした業界の統計データは和菓子業界データまとめページでも詳しく紹介しています。
5つ目は、完璧な英語を目指さないことです。取材先のある職人は「単語を並べて、あとは実物を見せて笑顔で渡せば伝わる」と話していました。和菓子そのものが持つ造形の美しさは、言葉より雄弁です。Nerikiri. Cherry blossom. Please. この3語と一つの上生菓子だけで、十分に文化は伝わります。
海外で和菓子がどのように受け入れられているかは、和菓子の海外人気を分析した記事で詳しく解説しています。
和菓子の英語表現に関するよくある質問
Q1. 「和菓子」は英語でそのまま Wagashi と言って通じますか?
日本文化に関心のある層には通じることが増えていますが、一般的にはまだ知られていません。初対面の相手には「Wagashi, traditional Japanese sweets」とセットで伝えるのが確実です。sushi や matcha がそのまま英語になったように、Wagashi も固有名詞として広がりつつある過渡期にあります。
Q2. あんこは英語で何と言えばいいですか?
sweet red bean paste が最も伝わる表現です。単に red bean と言うと「赤い豆そのもの」と誤解されることがあるため、paste(ペースト状のもの)を付けるのがポイントです。原料の小豆は azuki beans で、こちらも海外の健康食品市場では知名度が上がっています。
Q3. 餅を rice cake と説明すると誤解されませんか?
欧米で rice cake というと、乾燥した円盤状のライスクラッカーを指すことがあるため、誤解を避けたい場合は sticky rice cake や chewy rice cake と食感を補うのがおすすめです。mochi 自体が英語圏で広く認知されつつあるため、「Mochi is a chewy rice cake」とセットで伝えれば確実です。
Q4. 外国人にまず勧めるべき和菓子は何ですか?
初めての方には、どら焼きや大福など、甘さと食感がわかりやすいものがおすすめです。抹茶好きの方には抹茶餡の菓子、甘いものが苦手な方には煎餅という選択肢もあります。見た目のインパクトで選ぶなら、四季を表現した練り切りは写真映えもあり、文化的な話題にもつながります。
Q5. 和菓子作り体験を英語で案内するには何と言えばいいですか?
Wagashi-making class や Japanese sweets making experience という表現が一般的です。「You can make your own nerikiri with a craftsman.(職人と一緒に自分だけの練り切りが作れます)」と案内すれば魅力が伝わります。京都を中心に、外国人観光客向けの体験教室も年々増えています。
関連記事: 和菓子を食べる道具の名前は?黒文字・菓子切り・懐紙の使い方完全ガイド
関連記事: 和菓子の雑学25選|羊羹はなぜ「羊」?名前の由来から業界の数字まで職人目線で解説
まとめ|英語表現を身につけて和菓子の魅力を世界に伝えよう
和菓子を英語で説明するポイントを振り返ります。
- 「和菓子」は Wagashi と Japanese sweets をセットで使うのが基本
- 種類別の説明は「形状 → 中身 → 食感」の順番で組み立てる
- 原材料とアレルギーの説明は曖昧にせず具体的に伝える
- 店頭では試食・日持ち・季節限定の3フレーズが特に活躍する
- 完璧な英語より、季節や数字を添えた一言と笑顔が伝わる
訪日客が過去最高を更新し続けるいま、和菓子を英語で伝えられる人材の価値は、店頭でも職人の世界でも確実に高まっています。この記事の一覧表を保存して、まずは自分の好きな和菓子ひとつから、英語で説明する練習を始めてみてください。
和菓子の基礎知識を固めたい方は、種類別の英語表現とあわせて和菓子とは何かを解説した記事で全体像を復習しておくと、説明の引き出しがさらに増えるはずです。
参考情報
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2025年12月推計値)」2026年1月発表 https://www.jnto.go.jp/news/press/20260121_monthly.html
- e-Stat 政府統計の総合窓口「経済構造実態調査(2023年)」統計表ID: 0004028789(和生菓子・洋生菓子の出荷金額、2022年実績) https://www.e-stat.go.jp/
- 農林水産省「和食:日本人の伝統的な食文化(ユネスコ無形文化遺産、2013年登録)」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/ich/


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