ういろうとは?名前の由来と名古屋・山口・伊勢の違いを解説

ういろうとは?名前の由来と名古屋・山口・伊勢の違いを解説 和菓子の種類

最終更新: 2026-10-25

名古屋土産の定番として知られるういろうですが、「外郎」という漢字で書くこと、山口県にも全く違う原材料のういろうがあることをご存知でしょうか。さらに、神奈川県小田原市には同じ名前の医薬品まで存在します。この記事では、ういろうの名前の由来、お菓子と医薬品の関係、名古屋・山口・伊勢・小田原で原材料が異なる理由を、一次資料を確認しながら整理します。

ういろうとは?基本情報を一覧で確認

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ういろうは、穀粉に砂糖と湯水を加えて練り、型に入れて蒸し上げる蒸し菓子です。地域によって使う粉の種類が異なり、味や食感にも違いがあります。

項目 内容
分類 蒸し菓子
主な原材料 穀粉(米粉・わらび粉・小麦粉など、地域により異なる)
漢字表記 外郎
名前の由来 諸説あり(後述)
医薬品との関係 神奈川県小田原市の外郎家が製造する医薬品「外郎薬(透頂香)」と同名

名前の由来:なぜ「外郎」と書く?2つの説

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ういろうが「外郎」という漢字で書かれる理由には、主に2つの説があります。

1つは、口臭消し・痰切りなどに用いられていた薬「外郎薬(透頂香)」の色や形に、この菓子が似ていたために同じ名前で呼ばれるようになったという説です。もう1つは、元王朝が滅びた際に日本へ亡命した陳宗敬の子・宗奇が、室町幕府の将軍・足利義満に外郎薬を献上した際、口直しとして添えた菓子が評判になったことに由来するという説です(語源由来辞典、2026-10-25確認)。いずれの説も、お菓子のういろうが薬の「外郎」と深く結びついて生まれた名前であることを示しています。

お菓子の「ういろう」と医薬品の「外郎薬」は別物

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ういろうという名前は、実はお菓子と医薬品の両方に使われています。神奈川県小田原市の外郎家は、口中清涼・消臭用の医薬品「外郎薬(ういろうぐすり、透頂香)」を現在も製造・販売しており、これはお菓子のういろうとは別の商品です。江戸時代の滑稽本『東海道中膝栗毛』には、主人公がお菓子のういろうと勘違いして薬のういろうを食べてしまう場面が描かれており、当時から両者が混同されやすい存在だったことがうかがえます(ウィキペディア「ういろう(薬品)」、2026-10-25確認)。

発祥はどこ?博多・京都・小田原で分かれる諸説

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ういろうの発祥地については、よく「小田原発祥」と紹介されることがありますが、小田原のういろうメーカー「株式会社ういろう」自身が運営する公式サイトでも、小田原を発祥地とは主張していません。

同社の社史によると、創業は1368年、博多で初祖・陳延祐が「陳外郎」と名乗ったことに始まります。2代目は室町幕府将軍の招聘を受けて京都・四条西洞院に屋敷を構え、その際に大陸からの使節団をもてなすために考案した菓子が、お菓子としてのういろうの原点とされています。その後、応仁の乱による治安悪化を経て、1504年に5代目・外郎藤右衛門定治が小田原に移り住みました(株式会社ういろう公式サイト「ういろうの歴史」、2026-10-25確認)。福岡市の妙楽寺には今も「ういろう伝来之地」の石碑が建てられています(発祥の地コレクション「ういろう伝来之地」、2026-10-25確認)。

つまり発祥地は、初代が住んだ博多、お菓子の原点が生まれた京都、その後一族が店を構えた小田原のいずれとも言われており、一つに確定しているわけではありません。

「ういろう」の名前を巡る裁判があった

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ういろうを巡っては、名前の使用権についての商標裁判も実際に起きています。小田原の「株式会社ういろう」は、自社が過去に持っていた商標「ういらう」を根拠に、名古屋の「株式会社青柳ういろう」による「ういろう」関連の商標登録の無効を訴えました。しかし2001年3月、東京高裁は「ういろうが株式会社ういろう(小田原)のものであると一般に広く知られているとは言えない」と判断し、青柳側の商標登録を認める判決を下しました(toppy.net「ういろう裁判」、社長の商標登録「ういろう事件」、2026-10-25確認)。

この判決は、「ういろう」という名前がすでに小田原の一企業だけのものではなく、名古屋をはじめ各地で製造される菓子の名称として社会に広く認識されていることを示すものといえます。

名古屋・山口・伊勢・小田原、地域で原材料が違う

ういろうは江戸時代には日本各地に製法が広まり、地域ごとに主原材料や食感が異なるものへ分化しました。

地域 主原材料 食感の特徴
名古屋 米粉 もちもちとした重みのある食感
山口 わらび粉 わらび餅のようなプルプルとした食感
伊勢 小麦粉 米粉のういろうよりコシがあり弾力のある食感
小田原 穀粉(米粉など) 白・茶・小豆・黒など複数の味を展開

山口でわらび粉が使われるようになった背景には、かつて米が貴重だった一方で、わらび粉の原料が山口で多く採れたという事情があったと考えられています(ウィキペディア「ういろう(菓子)」、2026-10-25確認)。同じ「ういろう」という名前でも、名古屋と山口では原材料からまったく異なる菓子だと考えると分かりやすいでしょう。

名古屋はういろうだけでなく和菓子の出荷額自体が全国トップ

名古屋ういろうの産地である愛知県は、ういろうに限らず和菓子全体の生産拠点としても国内有数です。経済産業省 経済構造実態調査(2022年、品目編)によると、愛知県の和生菓子出荷金額は全国の都道府県の中で最も多くなっています。和菓子の消費・製造が根付いた土地であることが、ういろうが名古屋土産の定番として定着した背景の一つと考えられます。

まとめ:ういろうは「外郎」という名前で結ばれた地域ごとに違う菓子

  • ういろうは「外郎」と書き、名前の由来には薬「外郎薬」の色・形に似ていたという説と、口直しに添えた菓子が評判になったという説の2つがある
  • 神奈川県小田原市の外郎家が製造する医薬品「外郎薬(透頂香)」は、お菓子のういろうとは別物で、江戸時代から混同されやすい存在だった
  • 発祥地は「小田原」とよく紹介されるが、小田原外郎家自身は小田原発祥と主張しておらず、博多・京都・小田原のいずれとも言われ確定していない
  • 名古屋(米粉)・山口(わらび粉)・伊勢(小麦粉)・小田原(穀粉)と、地域によって主原材料が異なり、食感も大きく変わる
  • 愛知県は和生菓子出荷金額が全国最多で、名古屋ういろうが土産の定番として根付いた背景にもつながっている

和菓子の種類について他にも知りたい方は、浮島(うきしま)とは?や八つ橋とは?、たい焼きとは?の記事も参考にしてください。山口のういろうについては山口の和菓子おすすめ完全ガイドでも紹介しています。

参考情報

  • 語源由来辞典「外郎/ういろう」(https://gogen-yurai.jp/uirou/、2026-10-25確認)
  • ウィキペディア「ういろう(菓子)」(https://ja.wikipedia.org/wiki/ういろう_(菓子)、2026-10-25確認)
  • ウィキペディア「ういろう(薬品)」(https://ja.wikipedia.org/wiki/ういろう_(薬品)、2026-10-25確認)
  • 株式会社ういろう公式サイト「ういろうの歴史」(https://www.uirou.co.jp/history/、2026-10-25確認)
  • 発祥の地コレクション「ういろう伝来之地」(https://840.gnpp.jp/uiro/、2026-10-25確認)
  • toppy.net「ういろう裁判」(https://toppy.net/myamya/myamya18.html、2026-10-25確認)
  • 社長の商標登録「ういろう事件」(弁理士法人みなとみらい特許事務所、https://www.syohyo-jp.com/mame/resemblance_07.html、2026-10-25確認)
  • 経済産業省・総務省「経済構造実態調査」2022年、品目編 — 都道府県別の和生菓子出荷金額・産出事業所数(e-Stat 政府統計の総合窓口、https://www.e-stat.go.jp/)


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