最終更新: 2026-06-26
東京都内には、Google Maps登録ベースで29件以上の和菓子専門店が集中しており、平均評価は4.3と全国的にも高水準です(Google Maps調べ、2026年6月時点)。なかでも創業100年を超える老舗は、江戸時代から脈々と受け継がれてきた伝統の技と味を今に伝えています。
「東京で本当に歴史のある和菓子店はどこだろう」「手土産に老舗の銘菓を選びたいけれど、店が多すぎて迷ってしまう」と感じている方は少なくないでしょう。
この記事では、和菓子道編集部が創業年・看板商品・アクセス・口コミ評価をもとに、東京の老舗和菓子店10軒を厳選して紹介します。まず東京に老舗が集まる歴史的背景を解説し、次に創業年順で各店の特徴を詳しくお伝えします。最後にエリア別の比較データと、老舗を訪れる際のポイントもまとめました。
東京に老舗和菓子店が集まる歴史的背景
東京に老舗和菓子店が多い理由は、江戸時代の菓子文化に遡ります。
徳川幕府の成立により、京都から多くの菓子職人が江戸へ移住しました。将軍家や大名家の御用菓子司として腕を振るった職人たちが、やがて町人向けにも菓子を作るようになり、江戸独自の菓子文化が花開いたのです。和菓子の歴史と起源を振り返ると、この時代に現在まで続く老舗の多くが誕生しています。
江戸の菓子文化には、京菓子とは異なる特徴がありました。
| 項目 | 京菓子の特徴 | 江戸菓子の特徴 |
|---|---|---|
| 主な客層 | 公家・茶人 | 武家・町人 |
| 見た目 | 繊細で芸術的 | 素朴で大ぶり |
| 甘さ | 上品で控えめ | しっかりとした甘さ |
| 代表的な菓子 | 練り切り・落雁 | 饅頭・最中・団子 |
| 販売形態 | 注文生産中心 | 店頭販売が主流 |
明治以降は、東京遷都に伴い京都の名店も東京へ進出しました。とらやが明治2年(1869年)に東京に店舗を構えたのが代表例です。こうして東京には、江戸生まれの老舗と京都から移った名門が共存する、全国でも類を見ない和菓子の一大集積地が形成されました。
東京の老舗和菓子店おすすめ10選【創業年順】
以下では、東京で営業を続ける創業100年以上の老舗和菓子店を、創業年の古い順に紹介します。
| 順位 | 店名 | 創業年 | エリア | 看板商品 | 価格帯(税込) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 塩瀬総本家 | 1349年 | 中央区明石町 | 志ほせ饅頭 | 1個 200円前後 |
| 2 | 秋色庵 大坂家 | 1688〜1703年頃 | 港区三田 | 秋色最中 | 1個 250円前後 |
| 3 | 長命寺桜もち 山本や | 1717年 | 墨田区向島 | 桜もち | 1個 300円前後 |
| 4 | 日本橋 長門 | 1716〜1735年頃 | 中央区日本橋 | 久寿もち | 1箱 800円前後 |
| 5 | とらや | 室町時代後期(東京進出1869年) | 港区赤坂 | 小形羊羹 | 1本 300円前後 |
| 6 | 船橋屋 | 1805年 | 江東区亀戸 | くず餅 | 1箱 900円前後 |
| 7 | 榮太樓總本鋪 | 1818年 | 中央区日本橋 | 名代金鍔 | 1個 250円前後 |
| 8 | 青野総本舗 | 1856年 | 港区六本木 | 鶯もち | 1個 250円前後 |
| 9 | 御菓子司 中里 | 1873年 | 北区駒込 | 揚最中 | 1個 200円前後 |
| 10 | 清月堂本店 | 1907年 | 中央区銀座 | おとし文 | 1個 250円前後 |
1. 塩瀬総本家(中央区明石町)――日本の饅頭の元祖
貞和5年(1349年)、初代の林淨因が奈良で創業した日本最古の饅頭店です。中国から来日した林淨因は、肉食ができない僧侶のために小豆の甘い餡を入れた饅頭を考案しました。その後、江戸幕府の御用菓子司となり、江戸時代の菓子番付では和菓子部門の筆頭に選ばれています。
看板商品の「志ほせ饅頭」は、大和芋を使った薯蕷饅頭で、上品な皮とこしあんのバランスが特徴です。現在の本店は中央区明石町にあり、築地駅から徒歩約5分でアクセスできます。
660年以上の歴史を持つ同店は、和菓子職人を志す方にとって、日本の饅頭文化の原点を体感できる場所です。
2. 秋色庵 大坂家(港区三田)――元禄から続く俳菓の名店
元禄年間(1688〜1703年)に日本橋小網町で創業しました。屋号の「秋色」は、江戸時代の女流俳人として名を馳せた店主の娘・秋色女に由来しています。関東大震災で被災した後、昭和2年(1927年)に現在の三田に移転しました。
三色最中の発祥店としても知られ、白あん・小豆あん・抹茶あんの3種を楽しめます。田町駅・三田駅から徒歩圏内に位置し、東都のれん会の加盟店として老舗の品格を守り続けています。
3. 長命寺桜もち 山本や(墨田区向島)――関東風桜餅の発祥地
享保2年(1717年)、創業者の山本新六が隅田川の土手に植えられた桜の葉を塩漬けにし、桜もちを考案して長命寺の門前で売り始めたのが起源です。300年以上にわたり桜もちの一品だけを作り続けている専門店は、全国でもここだけでしょう。
小麦粉の薄焼き生地でこしあんを包み、塩漬けの桜の葉で巻く関東風の桜餅は、この店が元祖とされています。とうきょうスカイツリー駅や曳舟駅から徒歩圏内で、隅田川沿いの散策と合わせて訪れるのがおすすめです。
4. 日本橋 長門(中央区日本橋)――将軍家御用の菓子司
享保年間(1716〜1735年)に創業し、徳川吉宗の時代から将軍家御用の菓子司として仕えてきた名門です。「松岡長門大掾藤原信吉」の称号を授かり、屋号の「長門」はここに由来します。Google Mapsでは評価4.5・口コミ432件と高い評価を得ています(2026年6月時点)。
代表銘菓の「久寿もち」は、本わらび粉と砂糖のみで作る贅沢な一品です。また「松風」は江戸時代から一子相伝で受け継がれてきた銘菓で、徳川将軍家にも献上されていました。日本橋駅から徒歩3分とアクセスにも優れています。
5. とらや(港区赤坂)――室町時代創業の和菓子の代名詞
室町時代後期に京都で創業し、後陽成天皇の御在位中(1586〜1611年)から御所御用を勤めてきた記録が残っています。明治2年(1869年)の東京遷都に際して明治天皇にお供し、京都の店はそのままに東京にも進出しました。
とらやの羊羹の魅力は、5世紀にわたる職人技の結晶です。赤坂の本店のほか、東京駅や帝国ホテルにも店舗を構え、手土産の定番として幅広い世代に支持されています。和菓子職人の世界では、とらやでの修業経験は高いキャリア価値を持つとされており、職人を志す方にとっての憧れの存在です。
6. 船橋屋(江東区亀戸)――発酵くず餅発祥の店
文化2年(1805年)、下総国船橋出身の初代勘助が亀戸天神の門前で創業しました。良質な小麦が取れる船橋の地の利を生かし、小麦澱粉を450日間もの時間をかけて乳酸発酵させる独自製法で「くず餅」を作り上げました。
和菓子で唯一の発酵食品ともいわれるくず餅は、独特のもちもちとした食感と、黒蜜ときな粉の組み合わせが絶品です。明治初頭のかわら版「大江戸風流くらべ」で江戸名物に選ばれて以来、その名声は現在まで続いています。亀戸天神の参拝と合わせて訪れるのが定番です。
7. 榮太樓總本鋪(中央区日本橋)――金鍔で名を馳せた江戸の名店
文政元年(1818年)に創業し、安政4年(1857年)に現在の日本橋本店を構えました。3代目の細田安兵衛が幼少期の愛称「栄太郎」にちなんで屋号を「榮太樓」に改め、日本橋魚河岸で金鍔を売って評判を取ったのが現在の店の原型です。
看板商品の「名代金鍔」は、刀の鍔(つば)をかたどった形が特徴で、小豆の風味を最大限に引き出した餡をもっちりとした皮で包んでいます。また「梅ぼ志飴」は、江戸時代から親しまれてきた三角形の飴菓子で、東京土産の定番です。日本橋駅から徒歩2分と好立地で、2023年にはリニューアルした本店で出来たての和菓子やかき氷も楽しめるようになりました。
8. 青野総本舗(港区六本木)――安政から続く麻布の味
安政3年(1856年)に麻布市兵衛町(現在の港区六本木1丁目付近)で創業しました。明治20年に現在の六本木に移転し、以来この地で和菓子一筋に営んでいます。
4代目が考案した「鶯もち」は、歌舞伎役者が楽屋で舞台メイクをしたままでも食べやすいようにと一口サイズに仕上げた逸品です。この発想は、地域の文化や顧客の声に寄り添う老舗ならではの姿勢を象徴しています。六本木一丁目駅から徒歩すぐの立地で、ビジネスシーンの手土産としても人気があります。
9. 御菓子司 中里(北区駒込)――唯一無二の揚最中
明治6年(1873年)に日本橋で「三河屋安兵衛」の名で創業し、大正12年(1923年)に駒込へ移転しました。150年以上の歴史を持つ同店の代表銘菓「揚最中」は、3代目が昭和初期に考案したものです。
北海道十勝産の小豆を練り上げたつぶ餡を、ごま油でカラリと揚げた最中の皮で挟み、伊豆大島産の焼き塩をまぶして仕上げます。甘さと塩味の絶妙なバランスは、ほかの和菓子店にはない独自の味わいです。駒込駅東口から徒歩約2分と駅近で、午前中に売り切れることも珍しくありません。
10. 清月堂本店(中央区銀座)――宮内省御用の銀座の老舗
明治40年(1907年)、初代の水原嘉兵衛が鹿児島から上京し、日本橋小網町の和菓子屋での修業を経て29歳で独立しました。屋号の「清月堂」は、創業地付近の橋から眺めた水面に映る美しい月にちなんで名付けられています。
昭和9年(1934年)から旧宮内省の御用を承り、現在は4代目の水原康晴氏が当主を務めています。代々「先代に甘えることなく、自分のお菓子を持つこと」という家訓を守り、初代は水羊羹や葛桜、2代目は「江戸好み」などの半生菓子と、それぞれの得意分野を確立してきました。新橋駅・銀座駅から徒歩圏内に位置します。東京の和菓子を手土産に選ぶ際には、清月堂の銘菓も有力な候補です。
エリア別で見る東京の老舗和菓子店マップ
東京都内の和菓子店をエリア別に見ると、中央区・港区に老舗が集中していることがわかります。以下は、Google Places APIのデータに基づくエリア別の概況です。
| エリア | 主な老舗 | 特徴 |
|---|---|---|
| 日本橋・銀座・築地周辺(中央区) | 長門、榮太樓總本鋪、清月堂本店、塩瀬総本家 | 将軍家御用の名門が集中。ビジネス手土産に最適 |
| 赤坂・六本木・三田周辺(港区) | とらや、青野総本舗、秋色庵大坂家 | 京都から移った名店と江戸生まれの老舗が共存 |
| 下町エリア(墨田区・江東区) | 長命寺桜もち、船橋屋 | 門前町の文化と結びついた専門店 |
| 山手エリア(北区) | 御菓子司中里 | 地域密着型の名店。限定品は早い時間に完売 |
Google Mapsのデータによると、東京都内の和菓子店は29件が登録されており、平均評価4.3と高水準を維持しています(Google Maps調べ、2026年6月時点)。特に評価4.5以上の店舗としては、日本橋長門(4.5・口コミ432件)、亀屋大和(4.5・口コミ149件)などが挙げられます。
京都の老舗和菓子店と比較すると、京都は26件・平均評価4.47で、数ではほぼ同等ながら京都の方がやや高評価の傾向にあります。一方、東京は店舗の多様性に富み、江戸生まれの職人文化と京都から移った伝統の両方を体験できるのが強みです。
老舗ならではの職人技と技術継承の裏側
老舗和菓子店が何百年もの間営業を続けられる背景には、徒弟制度を基盤とした技術継承の仕組みがあります。和菓子業界の現場では、開業や独立を目指す前に老舗での修業が重要視される傾向が続いています。
老舗における修業の一般的な流れは、次のとおりです。
| 修業年数 | 主な内容 | 身につく技術 |
|---|---|---|
| 1〜2年目 | 下準備・掃除・あん炊きの補助 | 素材への理解、衛生管理の基礎 |
| 3〜4年目 | 基本的な菓子製造の実践 | 定番商品の製法、温度管理 |
| 5〜7年目 | 季節の上生菓子の制作 | 意匠設計、配色、造形力 |
| 8年目以降 | 新作開発・後輩指導 | 創作力、マネジメント |
老舗で修業した職人の話として耳にするのは、「あんの炊き上がりは目と耳と鼻で判断する。レシピには書けない感覚の世界がある」という言葉です。清月堂本店では「一代一菓」の思想が受け継がれており、代替わりのたびに新しい銘菓を生み出すことが求められます。日本橋長門の「松風」が一子相伝で伝わるように、門外不出の技法を持つ店も少なくありません。
和菓子職人を目指す方にとって、老舗での修業経験はキャリアの大きな土台となります。老舗和菓子屋の歴史と伝統の記事では、老舗が続いてきた経営の知恵についても詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
東京の老舗和菓子店を訪れる際の楽しみ方
老舗和菓子店を巡る際に知っておくと、より一層楽しめるポイントをまとめました。
まず、店舗によっては午前中で看板商品が売り切れる場合があります。御菓子司中里の揚最中や長命寺桜もちは、特に休日の午後には完売していることが多いため、開店直後の訪問がおすすめです。
次に、季節の上生菓子を楽しむなら、事前に店舗のホームページや電話で当日のラインナップを確認するとよいでしょう。老舗では月ごとに菓銘(和菓子につけられる名前)が変わるため、訪問時期によって異なる作品に出会えます。
手土産の和菓子で日持ちするものを選びたい場合は、羊羹や干菓子など水分の少ない菓子を扱う店舗を優先するとよいでしょう。塩瀬総本家の志ほせ饅頭やとらやの小形羊羹は、日持ちと格式を両立できる定番です。
和の老舗文化に興味がある方は、そばナビの老舗そば屋の歴史も参考になります。和菓子店と蕎麦屋では修業の文化や暖簾分けの仕組みに共通点が多く、比較して読むと江戸の職人文化がより立体的に見えてきます。
東京の老舗和菓子店に関するよくある質問
Q1: 東京で最も古い和菓子店はどこですか?
東京都内に本店を置く和菓子店のなかでは、貞和5年(1349年)に奈良で創業し、江戸時代に東京へ移った塩瀬総本家が最も古いとされています。東京生まれの店としては、元禄年間(1688〜1703年)に日本橋で創業した秋色庵大坂家が最古級です。
Q2: 手土産におすすめの老舗和菓子店はどこですか?
ビジネスシーンでは、宮内省御用の清月堂本店やとらやが格式の高さから好まれます。カジュアルな場面では、御菓子司中里の揚最中や船橋屋のくず餅が個性的で喜ばれるでしょう。予算や相手に合わせて選ぶのがポイントです。
Q3: 老舗和菓子店の商品はお取り寄せできますか?
多くの老舗がオンラインショップを運営しています。とらや・塩瀬総本家・清月堂本店などは公式通販に対応しています。ただし、長命寺桜もちのように店頭販売のみの店もあるため、事前に各店のホームページで確認してください。
Q4: 老舗和菓子店で修業するにはどうすればよいですか?
一般的には、製菓専門学校を卒業してから老舗に就職するルートが主流です。求人情報はハローワークや製菓業界の専門求人サイトに掲載されることがあります。未経験でも受け入れる店舗はありますが、基礎的な製菓知識があると有利です。
Q5: 東京の老舗和菓子店を効率よく巡るモデルコースはありますか?
日本橋・銀座エリアを中心に巡るコースがおすすめです。日本橋長門(日本橋駅)→ 榮太樓總本鋪(日本橋駅)→ 塩瀬総本家(築地駅)→ 清月堂本店(銀座駅)の順で回れば、徒歩と地下鉄を組み合わせて半日で4軒を訪問できます。各店の営業時間は平日9時〜17時頃が一般的ですが、土日は短縮営業の場合があるため事前確認をおすすめします。
Q6: 京都の老舗と東京の老舗で味の違いはありますか?
傾向として、京都の老舗はこしあんを使った繊細で上品な味わいが主流です。一方、東京の老舗はつぶあんを好み、素朴でしっかりとした甘さが特徴とされています。ただし現在は各店が独自の進化を遂げており、一概には言えません。両方の老舗を食べ比べてみるのが一番の楽しみ方です。
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まとめ:東京の老舗和菓子店を巡る楽しみ方
東京の老舗和菓子店巡りのポイントを振り返ります。
- 東京には660年超の歴史を持つ塩瀬総本家をはじめ、創業100年以上の老舗和菓子店が数多く集まっている
- 中央区(日本橋・銀座)と港区(赤坂・六本木)に老舗が集中しており、エリアを絞って効率よく巡れる
- 看板商品は午前中に売り切れる店もあるため、開店直後の訪問がおすすめ
- 手土産には日持ちのする羊羹・干菓子系が安心。格式を求めるならとらやや清月堂本店が定番
- 老舗の技術継承は徒弟制度に基づいており、職人を目指す方にとっては修業の場としても重要な存在
まずは気になる1軒を訪れて、何百年もの歴史が生み出した味を体験してみてください。東京の老舗和菓子店には、職人たちの技と思いが凝縮されています。
参考情報
- 塩瀬総本家 公式サイト(https://www.shiose.co.jp/)
- とらや 歴史ページ(https://www.toraya-group.co.jp/corporate/history)
- 榮太樓總本鋪 公式サイト(https://www.eitaro.com/)
- 清月堂本店 公式サイト(https://www.seigetsudo-honten.co.jp/)
- 船橋屋 歴史ページ(https://www.funabashiya.co.jp/aboutus/history.php)
- 長命寺桜もち 公式サイト(https://sakura-mochi.com/)
- 青野総本舗 公式サイト(https://www.azabu-aono.com/)
- Google Maps 和菓子店データ(Google Maps調べ、2026年6月時点)


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