饅頭の種類一覧|製法・皮・餡で分かる全分類ガイド

饅頭の種類一覧|製法・皮・餡で分かる全分類ガイド 和菓子の種類

最終更新: 2026-04-23

日本の饅頭の歴史は、1349年(貞和5年)に中国から渡来した林浄因が、奈良で小豆餡入りの甘い饅頭を創作したことに始まります。それから670年以上の時を経た現在、全国各地に数えきれないほどの饅頭が存在しています。

「饅頭ってそもそも何種類あるの?」「蒸し饅頭と焼き饅頭の違いは?」「お土産に買うならどの饅頭がいい?」。こうした疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。

この記事では、饅頭の種類を「製法」「皮(種)」「餡」の3つの軸で体系的に分類し、全国のご当地饅頭まで網羅的にご紹介します。まず饅頭の基本と歴史を押さえたうえで、製法別・皮別・餡別の分類、そして全国の名物饅頭マップの順にお伝えしていきます。

饅頭とは?基本をわかりやすく解説

饅頭とは、小麦粉や米粉などで作った皮(種)で餡を包み、蒸すまたは焼いて仕上げる和菓子の総称です。和菓子のなかでも最もポピュラーな存在であり、日常のおやつから慶弔の贈答品まで幅広い場面で親しまれています。

項目 内容
定義 皮(種)で餡を包んで加熱した和菓子
起源 中国の「饅頭(マントウ)」が原型。日本では1349年に林浄因が甘い餡入り饅頭を考案
発祥の店 塩瀬総本家(東京・現存する日本最古の饅頭店)
分類上の位置づけ 和菓子 → 生菓子 → 蒸し物/焼き物
水分量 30%以上(生菓子に分類される場合が多い)

饅頭の名前の由来は、中国の三国時代に諸葛孔明が川の神への供え物として人の頭をかたどった麺の塊を作ったという故事にさかのぼります。日本に伝わった当初は肉入りでしたが、禅寺の僧侶が肉食を禁じられていたため、林浄因が小豆を甘葛煎(あまずらせん)で煮た餡を詰めた甘い饅頭を創作しました。この革新が、日本独自の和菓子としての饅頭文化を築く出発点となったのです。

和菓子の種類について体系的に知りたい方は、大福の種類一覧羊羹の種類と違いもあわせてご覧ください。

饅頭の種類一覧:製法別に分類

饅頭は大きく「蒸し饅頭」と「焼き饅頭」の2種類に分かれます。それぞれの製法によって食感や風味が大きく異なります。

蒸し饅頭

皮で餡を包み、蒸し器で加熱して仕上げる最も伝統的な製法です。ふんわりとした食感が特徴で、饅頭の原型ともいえる存在です。

種類 特徴 代表例
薄皮饅頭 皮が極めて薄く餡の味わいが主役 柏屋薄皮饅頭(福島県)
酒饅頭 酒種(もろみ)で皮を発酵させる。ほのかな酒の香り 各地の酒饅頭
上用饅頭(薯蕷饅頭) 山芋と上用粉(米粉)で作る上品な皮。慶弔用に多い 紅白饅頭
葛饅頭 葛粉を使った透明感のある皮。夏季に人気 吉野葛饅頭(奈良県)
麩饅頭 生麩で餡を包む。もちもちとした食感 京都の麩饅頭
温泉饅頭 黒糖を使った茶褐色の蒸し饅頭。温泉地の定番 伊香保温泉・湯乃花まんじゅう

温泉饅頭は、1910年(明治43年)に群馬県伊香保温泉の勝月堂が、源泉の湯花(茶褐色)をイメージして黒糖を使った皮で考案したのが始まりとされています。

焼き饅頭

オーブンや鉄板で焼いて仕上げる饅頭です。香ばしい風味と日持ちのよさが特徴です。

種類 特徴 代表例
焼き饅頭(味噌だれ) 串に刺した素饅頭に味噌だれを塗って焼く。群馬の郷土菓子 群馬県の焼きまんじゅう
カステラ饅頭 カステラ生地で餡を包んで焼く。しっとりとした食感 もみじ饅頭(広島県)
栗饅頭 栗の形を模した焼き饅頭。卵と小麦粉の皮が特徴 各地の栗饅頭
黄身しぐれ 黄身餡を使い、表面にひびが入るように蒸し上げる(蒸し焼き) 秋色しぐれ
桃山 白餡に卵黄を加えた桃山生地をオーブンで焼く 月餅風桃山

皮(種)の種類で見る饅頭の違い

饅頭の個性を最も左右するのが「皮」の素材です。使用する粉の種類によって、食感や風味、格式まで変わってきます。

皮の種類 主原料 食感 格式・用途
小麦粉皮 小麦粉・砂糖 ふんわり柔らか 日常の茶菓子・土産物
薯蕷皮(上用皮) 山芋・上用粉(米粉) なめらかで上品 慶弔の贈答品・茶席
そば皮 そば粉・小麦粉 素朴で香ばしい 茶席・季節の菓子
葛皮 本葛粉 つるりと涼やか 夏季限定
麩皮 生麩(グルテン) もちもち 京菓子・茶席
黒糖皮 小麦粉・黒砂糖 しっとり濃厚 温泉土産・日常菓子
かるかん皮 かるかん粉(山芋・米粉) ふわふわで軽い 鹿児島銘菓
利休皮 小麦粉・黒ごま 香ばしく風味豊か 茶席

薯蕷饅頭は茶道の世界で「上用饅頭」と呼ばれ、最も格式の高い饅頭として知られています。茶席での和菓子の選び方について詳しくは、茶道と和菓子の選び方で解説しています。

餡の種類で広がる饅頭のバリエーション

饅頭の中身である「餡」も、その種類によって味わいが大きく変わります。餡の原料・製法・風味づけの組み合わせにより、無限ともいえるバリエーションが生まれます。

基本の餡

餡の種類 原料 特徴
こし餡 小豆 なめらかな舌触り。最も一般的
つぶ餡(小倉餡) 小豆 豆の食感が残る素朴な味わい
白餡 白いんげん豆(手亡豆) 上品な甘さ。練り切りの素地にも使用
うぐいす餡 青えんどう豆 うぐいす色の鮮やかな見た目と独特の風味

風味餡(フレーバー餡)

餡の種類 ベース 風味
黄身餡 白餡+卵黄 まろやかでコクのある味わい
栗餡 白餡+栗 秋の味覚を代表する風味
抹茶餡 白餡+抹茶 ほろ苦い大人の味わい
柚子餡 白餡+柚子 爽やかな柑橘の香り
ごま餡 白餡+黒ごま 香ばしく滋養のある味
味噌餡 白餡+白味噌 京都を中心とした上品な塩味

餡についてさらに詳しく知りたい方は、和菓子のあんこの種類で12種類の餡を比較解説しています。

全国ご当地饅頭マップ|地域別の名物饅頭

日本各地には、その土地の風土や文化を反映した個性的な饅頭が数多く存在します。ここでは、特に有名なご当地饅頭を地域別にまとめました。これは競合記事ではあまり取り上げられない、和菓子道ならではの切り口です。

日本三大まんじゅう

全国の饅頭のなかでも、特に格式が高いとされる3つの銘菓があります。

名称 所在地 創業 特徴
志ほせ饅頭 東京都・塩瀬総本家 1349年(貞和5年) 日本最古の饅頭店。上品な大和芋の皮にこし餡
薄皮饅頭 福島県・柏屋 1852年(嘉永5年) 極薄の皮でたっぷりの餡を包む。こし餡とつぶ餡の2種
大手まんぢゅう 岡山県・大手饅頭伊部屋 1837年(天保8年) 甘酒で仕込んだ酒饅頭。透けるほど薄い皮が特徴

地域別ご当地饅頭一覧

地域 饅頭名 特徴
北海道 わかさいも 大福豆を使い、焼き芋に見立てた焼き饅頭
群馬県 焼きまんじゅう 素饅頭を串に刺し、甘辛い味噌だれで焼く郷土菓子
群馬県 湯乃花まんじゅう 温泉饅頭の元祖。伊香保温泉・勝月堂が1910年に考案
東京都 人形焼 七福神や名所をかたどったカステラ饅頭。浅草名物
長野県 おやき 野菜餡(野沢菜・なす等)を小麦粉の皮で包んで焼く
愛知県 ういろう饅頭 米粉の蒸し菓子。もちもちとした食感
奈良県 吉野葛饅頭 本葛を使った透明な皮。夏季の涼菓子
広島県 もみじ饅頭 もみじの葉をかたどったカステラ饅頭。広島土産の定番
鹿児島県 かるかん饅頭 山芋と米粉のふわふわ生地にこし餡を包む
沖縄県 月餅(ムーチー) もち粉を月桃の葉で包んで蒸す。旧暦12月8日に食べる風習

手土産として饅頭を選ぶ際のポイントについては、和菓子の手土産おすすめガイドで詳しくご紹介しています。

饅頭を選ぶときのポイント|シーン別おすすめ

饅頭の種類がわかったところで、実際にどの饅頭を選べばよいのか迷う方も多いでしょう。ここでは、利用シーン別のおすすめをまとめました。

シーン おすすめの饅頭 選ぶ理由
日常のおやつ 温泉饅頭・薄皮饅頭 手頃な価格で素朴な味わいを楽しめる
慶事(結婚・出産) 紅白の上用饅頭 格式が高く、正式な贈答品として定番
弔事(法事・お供え) 白の上用饅頭 落ち着いた見た目で弔意を表す
旅行のお土産 ご当地饅頭(もみじ饅頭等) その土地ならではの個性を楽しめる
茶席 薯蕷饅頭・そば饅頭 上品な甘さで抹茶との相性が良い
夏の手土産 葛饅頭・水饅頭 涼しげな見た目と食感で季節感を演出

和菓子職人の現場では、「饅頭は皮と餡の比率で印象が変わる」とよく言われます。たとえば、薄皮饅頭は皮が全体の10%程度で餡の味を最大限に引き出すのに対し、上用饅頭は皮が30~40%を占め、山芋の風味と餡のバランスを楽しむ設計になっています。購入する際は、自分が「餡を味わいたいのか、皮も含めた総合的な味わいを楽しみたいのか」を考えると、好みに合った饅頭が見つかりやすくなります。

饅頭の種類に関するよくある質問

Q1: 饅頭と大福の違いは何ですか?

最大の違いは「皮」の素材です。饅頭の皮は小麦粉・米粉・山芋などの生地を蒸すまたは焼いて作りますが、大福の皮は餅(もち米)です。食感でいうと、饅頭はふんわりまたはしっとり、大福はもちもちとした弾力が特徴です。大福の種類については[大福の種類一覧](https://wagashi-do.jp/wagashi-2/daifuku-shurui-ichiran/)で詳しく解説しています。

Q2: 上用饅頭(薯蕷饅頭)はなぜ高いのですか?

上用饅頭は、山芋をすりおろして上用粉と合わせるため、材料費が高く、製造に手間がかかります。山芋の状態(水分量・粘り)は季節や産地で変わるため、職人が毎回生地の配合を微調整する必要があり、大量生産が難しい点も価格に反映されています。1個あたりの相場は200~500円程度です(2026年4月時点)。

Q3: 温泉饅頭はなぜ茶色いのですか?

温泉饅頭の茶色は、黒糖を皮に使用しているためです。発祥の地である伊香保温泉の勝月堂が、温泉の湯花(茶褐色の沈殿物)の色をイメージして黒糖を使った皮を考案しました。当初は源泉や湯花そのものを配合する試みもありましたが、良い結果が得られず、入手が容易になりつつあった黒糖が採用されたという経緯があります。

Q4: 饅頭の日持ちはどのくらいですか?

饅頭の種類によって異なります。生菓子に分類される蒸し饅頭(薄皮饅頭・上用饅頭など)は2~5日程度、焼き饅頭(カステラ饅頭・栗饅頭など)は1~2週間程度が目安です。葛饅頭は当日中に食べるのが最もおいしいとされています。購入時にお店で確認するのが確実です。

Q5: 饅頭はいつの季節に食べるものですか?

饅頭は一年を通じて楽しめる和菓子です。ただし、季節によって旬の饅頭があります。春は桜饅頭や草饅頭、夏は葛饅頭や水饅頭、秋は栗饅頭や芋饅頭、冬は酒饅頭やそば饅頭が店頭に並びます。特に4月の季節には、桜餅や柏餅(走り)とともに、季節感を取り入れた饅頭が和菓子店のショーケースを彩ります。

Q6: 自宅で饅頭を作ることはできますか?

はい、基本的な蒸し饅頭であれば、小麦粉・砂糖・ベーキングパウダー・市販のあんこがあれば自宅で作れます。蒸し器がなくても、深めのフライパンに水を張り、耐熱皿を置いて代用する方法もあります。ただし、上用饅頭のように山芋を使う饅頭は、生地の扱いが繊細なため、ある程度の練習が必要です。

関連記事: 落雁とは?種類・歴史から美味しい食べ方まで徹底解説

関連記事: 求肥(ぎゅうひ)とは?作り方3種を徹底比較

まとめ:饅頭の種類を知って和菓子をもっと楽しもう

饅頭の種類について、ここまでの内容を整理します。

  • 饅頭は大きく「蒸し饅頭」と「焼き饅頭」の2種類に分かれる
  • 皮の素材(小麦粉・山芋・葛・麩など)によって食感と格式が変わる
  • 餡は「基本の餡」と「風味餡」を合わせると10種類以上のバリエーションがある
  • 日本三大まんじゅうは、志ほせ饅頭(東京)・薄皮饅頭(福島)・大手まんぢゅう(岡山)
  • 利用シーン(日常・慶弔・手土産・茶席)に応じて選ぶと失敗しにくい

まずはお近くの和菓子店で、普段あまり手に取らない種類の饅頭を試してみてはいかがでしょうか。同じ「饅頭」でも、皮や餡が変わるだけで驚くほど異なる味わいに出会えるはずです。

和菓子の専門用語が気になった方は、和菓子用語集もぜひご活用ください。また、上生菓子とはでは、饅頭とはまた異なる和菓子の世界をご紹介しています。

参考情報

  • 塩瀬総本家「塩瀬と和菓子の物語」(https://www.shiose.co.jp/pages/about-history)— 饅頭の起源と林浄因の歴史
  • 全国和菓子協会「和菓子の種類」(https://www.wagashi.or.jp/monogatari/shiru/syurui/)— 和菓子の公式分類
  • 柏屋「日本三大まんじゅう」(https://www.usukawa.co.jp/usukawa/three_major_manjues/)— 日本三大まんじゅうの公式情報
  • 勝月堂「勝月堂の歴史」(https://www.shougetsudo.net/history.php)— 温泉饅頭発祥の経緯
  • Wikipedia「饅頭」(https://ja.wikipedia.org/wiki/饅頭)— 饅頭の歴史・分類の概要



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