最終更新: 2026-09-20
結論から言うと、和菓子職人になるのに高卒という学歴で不利になることはありません。法律上、和菓子職人になるための学歴要件そのものが存在せず、義務教育を終えていれば挑戦できる仕事です。実際に、和菓子店や食品メーカーの求人には「高卒以上」「学歴不問」という条件が併存しており、高校卒業後にそのまま就職して修業を積むルートは今も主流の一つです。
とはいえ「専門学校に行かないと不利になるのでは」「資格が取れないのでは」という不安を持つ人も多いでしょう。この記事では、高卒者が和菓子職人を目指す際に選べる2つの進路と、それぞれのメリット・デメリット、国家資格「製菓衛生師」の受験資格、高卒求人の給与の目安までを、公的資料と求人データに基づいて解説します。
和菓子職人になるのに学歴は関係あるのか

和菓子職人という職業自体に、免許や国家資格は必須ではありません。無資格・無学歴でも和菓子店に採用されれば、その日から「和菓子職人」として働き始めることができます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 必須の学歴要件 | なし(義務教育修了後であれば就業可能) |
| 必須の資格 | なし(製菓衛生師などは任意資格) |
| 年齢制限 | 労働基準法第56条により、原則として満15歳に達した日以後の最初の3月31日(中学卒業年度末)が終了するまでは働かせられない |
| 高卒求人での扱い | 「高卒以上」「学歴不問」の両方の求人が存在する |
Indeed・マイナビ転職の求人検索結果を見ると、和菓子職人の求人には「学歴不問」「未経験OK」と明記されたものと、「高卒以上」を応募条件とするものが併存しています。学歴そのものより、面接時の技能・意欲・体力面が重視される傾向がうかがえます。
中学卒業直後の就業は労働基準法上の制約があり実例が少ないため、実質的には「高校を卒業していれば進路の選択肢がもっとも広がる」というのが実情です。
高卒から和菓子職人を目指す2つの進路

高卒者が和菓子職人になるルートは、大きく分けて2つあります。それぞれの特徴を比較します。
| 進路 | 期間・費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 直接就職ルート | 就職後すぐに収入が発生。学費負担なし | 和菓子店・メーカーに新卒採用され、働きながら現場で技術を学ぶ |
| 専門学校進学ルート | 1〜2年・初年度学費は学校により約141万〜241万円 | 製菓の基礎知識・技術を体系的に学び、製菓衛生師の受験資格を卒業と同時に得られる |
直接就職ルート
高校卒業後、和菓子店や菓子メーカーに新卒として就職し、先輩職人のもとで技術を学ぶ方法です。学費がかからず、卒業と同時に収入を得られる点が最大のメリットです。老舗の中には高校に求人票を出し、学校斡旋で新卒を受け入れているところもあります。
デメリットは、体系的なカリキュラムがないため、配属先や師匠の教え方によって習得スピードにばらつきが出やすいことです。また、製菓衛生師の受験資格を得るには、証明日時点で2年以上の実務経験(週4日以上かつ1日実働6時間以上)が必要になるため、資格取得までに一定の期間がかかります。
具体的な就職活動の進め方は「和菓子職人になるには?未経験から目指す3つのルート」で詳しく解説しています。
専門学校進学ルート
製菓の専門学校に1〜2年通い、和菓子・洋菓子の基礎技術と衛生管理の知識を体系的に学んでから就職する方法です。卒業と同時に製菓衛生師の受験資格が得られる点が大きな利点で、実務経験を積む前に資格取得を目指せます。
デメリットは学費がかかることと、卒業後も新人からのスタートになるため、直接就職した同年代と比べて現場経験でやや遅れる場合がある点です。学校選びのポイントは「和菓子の専門学校おすすめ7選|学費・カリキュラム・就職率を徹底比較」で比較しています。
製菓衛生師は高卒でなくても取得できるのか

和菓子職人の代表的な国家資格「製菓衛生師」の受験資格は、東京都保健医療局の公表情報によると次の2パターンのいずれかです。
| 受験資格のルート | 条件 |
|---|---|
| 養成施設ルート | 都道府県知事指定の製菓衛生師養成施設(専門学校等)で1年以上必要な知識・技能を修得した者 |
| 実務経験ルート | 中学校卒業以上の学歴があり、食品衛生法の許可を受けた菓子製造業の施設で2年以上実務に従事した者(証明日時点で従事期間2年以上が必要。パート・アルバイトは週4日以上かつ1日実働6時間以上であれば対象) |
つまり製菓衛生師は、高卒はもちろん中学校卒業の学歴でも、2年以上の実務経験さえ積めば受験資格を得られます。高卒で直接就職した場合は実務経験ルートを、専門学校に進学した場合は養成施設ルートを使うことになり、どちらの進路でも取得を目指せる資格です。試験の科目や勉強法については「製菓衛生師試験の難易度は?合格率・科目・勉強法を徹底解説」、他の関連資格との違いは「和菓子の資格の種類を徹底解説」で整理しています。
高卒求人の実態|求人数と給与の目安

Indeedの求人検索結果(2026年9月時点)では、「和菓子職人」の求人は全国で670件、京都府に絞ると41件が確認できます。マイナビ転職にも「学歴不問」「未経験OK」「第二新卒歓迎」といった条件の和菓子職人求人が掲載されており、新卒・第二新卒の受け入れ枠は一定数存在しています。
給与面では、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によるパン・菓子製造工の全国平均年収は366.2万円、ハローワークの求人統計では菓子製造工の求人賃金は月額平均21.8万円です。未経験からのスタートでは月20万円程度が初任給の目安になり、経験を積むことで月給が上がっていく傾向にあります。経験年数別の詳しい収入目安は「和菓子職人の年収・給料を徹底解説」で解説しているので、あわせて確認してください。
高卒直接就職の場合、初任給の水準は専門学校卒とほぼ同じ水準からスタートすることが多く、学歴による初任給の明確な差は求人情報の上では確認できませんでした。差が出やすいのは、資格の有無や配属先の業態(老舗個人店か、企業メーカーか)による部分が大きいといえます。
高卒で和菓子職人を目指す際によくある不安
体力面・生活リズムへの不安
和菓子店の多くは早朝からの仕込みが必要で、生活リズムの変化に戸惑う新人は少なくありません。実際の勤務実態と対策は「和菓子職人はきつい?早朝5時・年収366万円の実態と対策」で詳しく取り上げています。
進学した同級生と比べて焦る
専門学校に進んだ同級生が資格を取得していくのを見て焦りを感じる人もいますが、直接就職ルートでも2年の実務経験があれば同じ製菓衛生師の受験資格を得られます。むしろ現場での経験年数は直接就職の方が先行するため、一長一短です。
よくある質問
Q1: 和菓子職人になるのに学歴は必要ですか?
必須の学歴要件はありません。義務教育修了後であれば就業可能で、高卒であれば求人の選択肢がもっとも広くなります。専門学校卒でなくても、和菓子店や企業への直接就職から職人を目指せます。
Q2: 中卒でも和菓子職人になれますか?
制度上は、中学校卒業以上の学歴で2年以上の実務経験を積めば製菓衛生師の受験資格も得られます。ただし労働基準法上、中学卒業直後の就労には制約があり、実務上は高校卒業後の就職が一般的なルートになっています。
Q3: 高卒で専門学校に行かず就職するのは資格取得に不利ですか?
不利にはなりません。証明日時点で2年以上の実務経験(週4日以上・1日実働6時間以上)があれば、専門学校を経由しなくても製菓衛生師の受験資格を得られます。専門学校ルートは資格取得までの期間を短縮できる点がメリットです。
Q4: 高卒の初任給はどのくらいですか?
求人情報や公的統計を見る限り、未経験からのスタートでは月20万円程度が目安です。ハローワークの求人統計では菓子製造工の求人賃金は月額平均21.8万円となっています(2026年9月時点)。経験年数による変化は「[和菓子職人の年収・給料を徹底解説](https://wagashi-do.jp/wagashi-3/wagashi-shokunin-nenshu/)」を参照してください。
Q5: 高卒後にまずパートやアルバイトから始めることもできますか?
できます。パート・アルバイトから技術を学び、正社員登用や独立を目指すルートも現実的な選択肢です。「[和菓子のパート求人完全ガイド](https://wagashi-do.jp/wagashi-3/wagashi-part-kyujin-guide/)」で時給相場や仕事内容を紹介しています。
まとめ:和菓子職人は高卒からでも十分に目指せる
- 和菓子職人になるための必須の学歴要件はなく、義務教育修了後であれば挑戦できる
- 高卒者の進路は「直接就職」と「専門学校進学」の2つ。どちらも製菓衛生師の受験資格につながる
- 直接就職の場合は2年以上の実務経験、専門学校進学の場合は1年以上の養成課程修了が受験資格の条件になる
- Indeedの求人検索(2026年9月時点)では和菓子職人の求人が全国670件確認でき、学歴不問・未経験OKの条件も一般的
- 初任給の目安は月20万円前後で、学歴による明確な初任給差は求人情報からは確認できない
まずは「和菓子職人になるには?未経験から目指す3つのルート」で具体的な就職活動の進め方を確認するか、体系的に技術を学びたい場合は「和菓子の専門学校おすすめ7選」で進学先を比較してみることをおすすめします。和菓子業界全体の事業所数や市場規模のデータは「和菓子業界の統計まとめ」でも定期更新しています。
この記事は和菓子道編集部が執筆しました。和菓子道は和菓子職人のキャリアに特化した専門メディアです。詳しくは編集部についてをご覧ください。
参考情報
- 厚生労働省福岡労働局「最低年齢(労働基準法第56条)」https://jsite.mhlw.go.jp/fukuoka-roudoukyoku/var/rev0/0119/7561/6.pdf 確認日: 2026-09-20
- 東京都保健医療局「東京都製菓衛生師試験Q&A」https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/anzen/shikaku/csh_menkyo/chori_seika/seika/siken_qa 確認日: 2026-09-20
- 厚生労働省 職業情報提供サイトjobtag「パン・菓子製造従事者」https://shigoto.mhlw.go.jp/ 確認日: 2026-09-20
- らくらくハローワーク求人検索「菓子製造工」求人賃金 https://hw-jobs.careermine.jp/salary/occupations/japanese-confectioner 確認日: 2026-09-20
- Indeed「和菓子職人」求人検索結果 https://jp.indeed.com/q-%E5%92%8C%E8%8F%93%E5%AD%90%E8%81%B7%E4%BA%BA-%E6%B1%82%E4%BA%BA.html 確認日: 2026-09-20
- マイナビ転職「和菓子職人」求人検索結果 https://tenshoku.mynavi.jp/keyword/%E5%92%8C%E8%8F%93%E5%AD%90%E8%81%B7%E4%BA%BA/ 確認日: 2026-09-20


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