最終更新: 2026-10-19
和菓子の着色には、植物や生薬由来の「天然色素」と、化学合成された「合成着色料(タール色素)」の2種類があります。家庭で練り切りなどを作る場合は、クチナシや紅麹、抹茶といった天然色素を少量使うのが扱いやすく、販売する場合は食品表示法に基づく表示義務がある点に注意が必要です。この記事では、色別の代表的な天然色素、家庭での使い方の基本、販売時の表示ルールまでをまとめました。
和菓子の着色料には何がある?天然色素と合成着色料の違い

和菓子の着色料は、原料の由来によって大きく2種類に分かれます。
| 項目 | 天然色素 | 合成着色料(タール色素) |
|---|---|---|
| 原料 | クチナシ・紅麹・抹茶など植物・生薬由来 | 石油由来の化学合成成分 |
| 発色 | やや穏やかで自然な色合い | 鮮やかで均一な発色 |
| 表示例 | 「クチナシ色素」「紅麹色素」など物質名 | 「赤色○号」「黄色○号」など号数表示 |
| 家庭での入手 | 製菓材料店・通販で粉末タイプが入手しやすい | 製菓用の食用色素として入手可能 |
どちらも食品添加物としての安全性基準をクリアした上で流通していますが、和菓子作りでは発色の自然さや「和」の雰囲気に合わせやすいことから、天然色素を使う職人や家庭が多く見られます。
色別・代表的な天然色素一覧

和菓子でよく使われる天然色素を色別に整理すると、次のようになります。
| 色 | 代表的な天然色素 |
|---|---|
| 赤・ピンク | 紅麹色素、クチナシ赤色素、ビートレッド(赤ビート色素) |
| 黄 | クチナシ黄色素、ウコン色素、ベニバナ黄色素 |
| 青 | クチナシ青色素、バタフライピー色素(チョウマメ色素) |
| 紫 | ムラサキイモ色素、ムラサキヤマイモ色素 |
| 緑 | 抹茶、クロロフィル |
| 黒 | イカスミ色素、竹炭などの植物炭末色素 |
中でもクチナシは、抽出方法によって黄・赤・青の3色の色素が作れる珍しい素材で、これらを混ぜ合わせることで緑や紫まで幅広い色調を作り出せます。
栗きんとんの黄色はクチナシの実から

天然色素は食品添加物としてだけでなく、素材そのものを使う方法も昔から和菓子に根付いています。代表例がおせち料理の栗きんとんです。クチナシの実をそのまま、あるいは砕いて茶袋やガーゼに包み、さつまいもを煮る際に一緒に入れることで、鮮やかな黄色が自然につきます。この黄色の正体はクチナシの実に含まれる「クロシン」という成分で、栗そのものの色ではありません。
家庭で栗きんとんや芋あんを色づけする場合、クチナシの実を使えば食品添加物の表示を気にせず、素材そのものの力で着色できるのが利点です。
家庭で着色するときの使い方【3ステップ】

粉末タイプの食用色素を使って練り切りなどの生地を着色する場合、次の手順が基本です。
Step 1: 色素を少量の水やお湯で先に溶く
粉末のまま生地に振りかけると、色ムラや粒が残る原因になります。完全に溶けるよう、少量の水または人肌程度のお湯で先に溶かしてから使います。
Step 2: つまようじの先程度のごく少量から試す
色素は少量でもよく発色するため、最初はつまようじの先に少量つける程度から始め、生地によく練り込みます。
Step 3: 色を確認しながら少しずつ足す
一度に大量に加えると濃くなりすぎて取り返しがつきません。生地全体によく練り込んでから色を確認し、薄ければ少しずつ追加する、という手順を繰り返します。
| よくある失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 色ムラができる | 粉末のまま生地に加えている | 先に水やお湯で溶いてから加える |
| 色が濃くなりすぎる | 最初から多めに加えている | つまようじの先程度から少しずつ足す |
| 生地がベタつく | 色素を溶いた水分が多すぎる | 溶く水分は最小限にとどめる |
販売する場合は要注意:着色料の食品表示ルール
家庭で楽しむ分には表示義務はありませんが、和菓子屋を開業するなど販売目的で着色料を使う場合は、食品表示法に基づく表示が必要です。
- 着色料は「物質名+用途名」を併記して表示する義務がある食品添加物で、例えば「着色料(クチナシ色素)」のように括弧内に物質名を記載する
- 合成着色料(タール色素)を使った場合は「赤色○号」「黄色○号」のような号数表示になる
- 物質名は正式名称のほか、簡略名・類別名での表示も認められている
開業を検討している場合は、着色料の表示ルールだけでなく資金計画や許認可もあわせて確認しておくと準備が進めやすくなります。開業資金の内訳は和菓子屋の開業資金は200万〜1500万円で解説しています。
和菓子の着色料に関するよくある質問
Q1: 天然色素と合成着色料、どちらが安全ですか?
どちらも食品衛生法に基づく安全性基準をクリアした上で使用が認められている食品添加物です。「天然=無条件に安全」「合成=危険」と単純に区別できるものではありませんが、和菓子では発色の自然さを理由に天然色素が選ばれる場面が多く見られます。
Q2: クチナシの実はどこで手に入りますか?
製菓材料店やスーパーの乾物コーナー、通販で購入できます。栗きんとんや芋あんの色づけに使う場合は、実をそのまま、または砕いて茶袋に入れて煮汁に加える方法が一般的です。
Q3: 色が時間が経つと褪せてしまうのはなぜですか?
天然色素は光や熱、保存期間の経過によって色が薄くなりやすい性質があります。直射日光を避けて保存し、できるだけ早めに食べきることで色の変化を抑えられます。
まとめ:和菓子の着色料のポイント
- 和菓子の着色料は、植物由来の「天然色素」と化学合成の「合成着色料(タール色素)」の2種類に分かれる
- クチナシ(黄・赤・青)、紅麹、抹茶、紫芋など、色ごとに代表的な天然色素がある
- 栗きんとんの黄色はクチナシの実そのものを使う伝統的な着色方法で、食品添加物表示を気にせず家庭でも再現できる
- 家庭で着色する際は、色素を先に水で溶き、つまようじの先程度のごく少量から試すのが失敗しないコツ
- 販売目的で使う場合は食品表示法に基づき「物質名+用途名」の表示義務がある
練り切り生地そのものの作り方は練り切りの作り方、季節ごとの意匠の広げ方は練り切りの種類完全ガイド、着色した生地を形にする道具については和菓子の抜き型(生抜き)とはもあわせてご覧ください。
参考情報
- cotta business「お菓子屋さんの食品表示(添加物編)」(https://www.cotta.jp/business/chef-pedia/?p=6、2026年10月確認)
- 株式会社ロッコー・コーポレーション「天然色素/天然着色料一覧」(https://www.rokkou-co.jp/wp/naturalfoodcolor/、2026年10月確認)
- ウェザーニュース「鮮やかな黄色は栗の色ではない?『栗きんとん』の3つの秘密」(https://weathernews.jp/s/topics/202112/210155/、2026年10月確認)
- 神戸化成株式会社「色素各論 クチナシ黄色素」(https://kobeche.co.jp/technology_post/color_gardeniayellow/、2026年10月確認)
- 一新企画「セリアの着色料の粉末食用色素全種類と使い方!安全性や用途別のおすすめ活用法も徹底解説」(https://isshin-kikaku.com/resources/seria-food-coloring-types-usage-safety/、2026年10月確認)


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