最終更新: 2026-10-18
3月3日の桃の節句が近づくと、和菓子屋の店頭には菱餅や雛あられが並びます。「雛菓子って結局どんな和菓子の総称なの?」「菱餅と雛あられは何が違うの?」「色にはどんな意味があるの?」――毎年目にしながらも、意外と答えられない疑問ではないでしょうか。
この記事では、雛菓子という言葉が指す範囲を整理したうえで、代表的な菱餅・雛あられ・ひちぎりそれぞれの由来と意味、色に込められた願い、そして関東と関西で異なる味や形の違いを解説します。由来や色の意味は資料によって断定の度合いが異なるため、どの説明がどの資料によるものかも明示します。
雛菓子とは?3月3日に食べる和菓子の総称

雛菓子(ひながし)とは、3月3日の桃の節句(上巳の節句・ひなまつり)にあわせて作られる和菓子の総称です。特定の一種類を指す言葉ではなく、菱餅・雛あられ・ひちぎり・桜餅など、ひなまつりの時期に供えたり食べたりする行事菓子をまとめて呼ぶときに使われます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読み方 | ひながし |
| 意味 | 桃の節句(3月3日)に供える・食べる和菓子の総称 |
| 代表的な種類 | 菱餅、雛あられ、ひちぎり、桜餅など |
| 込められた願い | 女の子の健やかな成長・厄除け |
| 時期 | 2月下旬〜3月3日頃 |
なお、節句と和菓子の関係は桃の節句以外にも5つの節句すべてに存在します。この記事では、雛菓子の中でも特に菱餅・雛あられ・ひちぎりの3つに絞って、由来や意味を詳しく見ていきます。
菱餅とは?菱形と3色に込められた意味

菱餅(ひしもち)は、菱形に切った餅を重ねた雛菓子の代表格です。雛人形の前に飾られる、ひなまつりの象徴的な存在といえます。
菱形の由来
菱餅の菱形の由来には複数の説があります。和樂web「なぜ菱形で三色なの?」では、水草である「菱(ヒシ)」の実の形を模したもので、菱が繁殖力の強い植物であることから子孫繁栄や長寿への願いが込められたという説を中心に紹介しつつ、「菱葩餅を簡略化したもの」「心臓をかたどったもの」など諸説あり、「はっきりとした理由は不明」としています。単一の正式な由来が確定しているわけではない点を踏まえておきましょう。
3色の意味:素材と象徴する願いの両面がある
菱餅は下から緑・白・桃(赤)の3色の層になっているのが一般的です。各色には「使われている素材」と「そこに込められた願い」の2つの側面があります。
| 色 | 使われている素材 | 象徴する願い |
|---|---|---|
| 緑 | 蓬(よもぎ) | 若草・生命力、邪気払い |
| 白 | 菱の実 | 残雪・清浄、子孫繁栄 |
| 桃(赤) | 山梔子(クチナシ)の実 | 桃の花、魔除け |
複数の資料(ウェザーニュース、和樂web)がこの組み合わせをほぼ共通して紹介しており、素材由来と季節・願いの象徴は対立する解釈ではなく、同じ色に重ねて語られているものと理解しておくとよいでしょう。
菱餅の色の歴史的な変化
菱餅はもともと白一色、あるいは白と緑の2色だったとされます。和樂web「なぜ菱形で三色なの?」によると、江戸時代までは白と緑の2色のみで、明治時代になってクチナシの実を混ぜた赤色の餅が加わり、現在のような3色になったと紹介されています。つまり3色構成は比較的新しい形で、地域や時代によって色の構成が異なっていた歴史があります。
雛あられとは?菱餅を外で食べるために生まれたお菓子

雛あられは、米を主原料にした小粒の菓子で、ピンク・白・緑(地域によって黄も加えた4色)に色付けされています。
由来:雛人形を外に連れ出す風習から
雛あられの起源は、江戸時代の「雛の国見せ」という風習にあるとされています。雛人形を野外に持ち出して景色を見せる際、菱餅を砕いて携帯食にしたものが雛あられの始まりという説が有力です(hugkum、tougyoku)。
色の意味
3色の場合は菱餅と同様に緑・白・桃の意味が引き継がれているとされ、4色の場合はピンク・黄・緑・白で「春夏秋冬」の四季を表し、一年を通した成長祈願の意味が込められているという説明が紹介されています(hugkum「ひなあられの由来とは」)。
関東と関西で違う雛あられ:味・形・製法を比較

雛あられは全国共通の菓子に見えて、実は関東と関西で味も形もまったく異なります。
| 比較項目 | 関東風 | 関西風 |
|---|---|---|
| 大きさ | 米粒ほどの小粒 | 直径1cm程度 |
| 原料・製法 | うるち米を爆(は)ぜたポン菓子 | 餅を小さく切って揚げたおかき |
| 味付け | 砂糖による甘味 | 塩・醤油による甘じょっぱい味 |
| 由来地 | 関東圏 | 平安時代の京都、宮中の菓子職人が菱餅を砕いたのが始まりという説 |
関東風は「甘いポン菓子」、関西風は「しょっぱいおかき」というくらい味の方向性が異なります(hugkum「ひなあられの由来とは」)。実家が関東・関西どちらかで育った人にとっては、相手側の雛あられを初めて食べると驚くことが多いポイントです。名古屋圏ではさらに円柱形・丸型で甘味付けされたタイプもあるとされ、地域差は関東・関西の二分類だけでは説明しきれない部分もあります。
ひちぎりとは?京都に伝わる雛菓子

ひちぎり(引千切)は、主に京都の雛菓子として知られる生菓子です。餅を丸めるのではなく、柄杓(ひしゃく)の柄の部分を引きちぎるようにして成形することから「引千切」の名がついたとされています(當玉堂「ひな祭りの定番和菓子の由来」)。くぼみにあんや味噌あんをのせた上生菓子で、関東では見かける機会が少なく、関西・京都の和菓子店で春先に登場することが多い菓子です。
雛菓子を食べる意味・込められた願い
菱餅・雛あられ・ひちぎりに共通するのは、「女の子の健やかな成長」への願いです。桃の節句そのものが、もともと中国から伝わった「上巳の節句」という厄払いの行事に由来し、紙や草の人形に穢れを移して川に流す「流し雛」の風習が、現在の雛人形を飾る形に発展したとされています(當玉堂「ひな祭りの定番和菓子の由来」)。菱餅の菱形の角には魔物を遠ざける効果があるとされ、角から食べることで健康に過ごせるという言い伝えも紹介されています(hugkum)。
桃の節句を含む五節句と和菓子の関係については、こちらの記事でより広い視点から解説しています。
雛菓子と一緒に楽しまれる和菓子
雛菓子というと菱餅・雛あられが中心ですが、ひなまつりの時期には桜餅も一緒に並ぶことが多くあります。桜餅の簡単レシピも合わせて参考にしてみてください。また、同じく米粉を使った季節の和菓子として月見団子の作り方も、粉選びの考え方など通じる部分があります。
和菓子そのものの基礎知識については和菓子とは何か、種類全体を知りたい場合は和菓子の種類一覧もあわせてご覧ください。
まとめ:雛菓子は菱餅・雛あられ・ひちぎりなどの総称
- 雛菓子は3月3日の桃の節句に食べる和菓子の総称で、菱餅・雛あられ・ひちぎりなどが含まれる
- 菱餅の3色は、使われている素材(蓬・菱の実・クチナシ)と、そこに込められた願いの両面で意味づけられている。3色構成は明治以降に定着した比較的新しい形
- 雛あられは関東が甘いポン菓子、関西が塩味のおかきと、味も製法もまったく異なる
- ひちぎりは京都を中心に伝わる雛菓子で、柄杓の柄を引きちぎる成形方法が名前の由来
- いずれも「女の子の健やかな成長」への願いが込められている
今年の桃の節句には、意味を知ったうえで菱餅や雛あられを味わってみると、いつもとは違う楽しみ方ができるはずです。
参考情報
- 和樂web「なぜ菱形で三色なの?ひな祭りに欠かせない『菱餅』の由来と謎を調べてみた」(https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/145759/、2026-10-18確認)
- ウェザーニュース「ひな祭りに飾られる菱餅(ひしもち) 赤・白・緑の3色の意味は?」(https://weathernews.jp/news/202603/010186/、2026-10-18確認)
- 當玉堂「ひな祭りの定番和菓子の『雛あられ』・『菱餅』・『ひちぎり』にはどんな由来があるの?」(https://www.tougyoku.com/hina-ningyou/column/hina-matsuri-recipe/hina-matsuri-wagashi-yurai/、2026-10-18確認)
- Hugkum「『ひなあられ』の由来とは?食べる意味や関東と関西の違いも解説!」(https://hugkum.sho.jp/115065、2026-10-18確認)


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