最終更新: 2026-10-26
小麦粉の生地であんを包んで焼く丸い和菓子、今川焼き。ところが同じお菓子でも「大判焼き」「回転焼き」「御座候」など、地域によって呼び方がまったく違うことをご存知でしょうか。この記事では、今川焼きという名前の由来、地域ごとの呼び方の分布、そして「御座候」が実は会社名であることを一次資料で確認しながら整理します。
今川焼きとは?基本情報を一覧で確認

今川焼きは、水で溶いた小麦粉の生地を丸い専用の焼き型に流し入れ、あんなどの具を挟んで両面を焼き上げる和菓子です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | 焼き菓子 |
| 主な原材料 | 小麦粉の生地、小豆あん(カスタードクリームなどの具もある) |
| 発祥地 | 江戸・神田(現在の東京都千代田区鍛冶町付近) |
| 発祥時期 | 江戸時代中期・安永年間(1772〜1780年)頃 |
| 主な別名 | 大判焼き、回転焼き、おやき、二重焼き、御座候 など |
名前の由来:江戸・神田の「今川橋」にちなむ

今川焼きという名前は、江戸時代中期の安永年間(1772〜1780年)頃、神田堀(龍閑川)に架かっていた「今川橋」のたもとの店が、この菓子を売り出したことにちなむとされています。今川橋は現在のJR神田駅の東側、千代田区鍛冶町1丁目付近にあった橋です(語源由来辞典「今川焼き」、発祥の地コレクション「今川焼」、2026-10-26確認)。
橋そのものの名前については、天和年間(1681〜1683年)に架橋に尽力した地元の名主・今川善右衛門にちなむという記録があります(発祥の地コレクション「今川焼」、2026-10-26確認)。なお「今川家の家紋である巴形が浮き出ることから」という説も語られることがありますが、江戸時代の文献に巴形の記述が見当たらないため、由来としては考えにくいとされています(語源由来辞典「今川焼き」、2026-10-26確認)。
文献に残る今川焼きの記録

今川焼きが文献に登場する最も古い記録とされるのが、安永6年(1777年)に刊行された名物店の番付誌『富貴地座位』です。ここに「今川やき 那須屋弥平 本所」という記載があり、安永年間にはすでに江戸の人々に親しまれていたことがうかがえます(語源由来辞典「今川焼き」、2026-10-26確認)。
大判焼き・回転焼きなど呼び方は地域でこんなに違う

今川焼きは全国各地で親しまれていますが、呼び方は地域によって大きく異なります。ニチレイフーズの企画によりクロス・マーケティングが実施した調査(2025年10月10日〜19日、Webアンケート、回答者14,057人)では、次のような結果が出ています(ITmedia「“今川焼き”“大判焼き”…呼び方の勢力図」、2026-10-26確認)。
| 呼び方 | 最多エリア数 | 全国の投票数 |
|---|---|---|
| 今川焼き | 19エリア | 8,508票 |
| 大判焼き | 15エリア | 7,309票 |
| 回転焼き | 9エリア | 3,646票 |
地域別の傾向としては、関東・北陸では「今川焼き」が強く、近畿では「今川焼き」と「回転焼き」が拮抗、中国・四国では「大判焼き」、九州では「回転焼き」が優勢という結果でした(同調査、2026-10-26確認)。関東と関西では呼び方の勢力がはっきり分かれているのが特徴です。
「御座候」は呼び方ではなく会社名だった

関西、特に兵庫県では「御座候(ございそうろう)」という呼び方を見かけますが、これは一般名詞ではなく、株式会社御座候という企業の商品名・社名です。
同社の採用ページによると、1950年に佐賀市で今川焼きの店として創業し、1955年に姫路市で「御座候」として開業、1959年に株式会社御座候として設立されました。現在も本社は兵庫県姫路市にあります(マイナビ「株式会社御座候 会社概要」、2026-10-26確認)。「御座候」という名前は、店主の「私が焼いた回転焼でございます」「お買い上げいただきありがたく御座候」という気持ちを込めた言葉に由来し、当初は「回転焼」として売っていたものが、客が店名で注文するようになったことで商品名として定着したと伝えられています(uzurea.net「今川焼きの呼び方・名称について」、ウィキペディア「御座候」、2026-10-26確認)。
経済産業省 経済構造実態調査(2022年、品目編)によると、御座候が本社を置く兵庫県の和生菓子出荷金額は74億1千万円で、都道府県別では全国22位です。関西の中でも、御座候のような焼き菓子の製造・販売が地域に根付いている土地だといえます。
おやき・二重焼きなど、ほかにもある地域名
今川焼き・大判焼き・回転焼き・御座候以外にも、地域ごとの呼び方があります。
| 呼び方 | 主な地域 |
|---|---|
| おやき | 北海道、青森県、茨城県西部など |
| 二重焼き | 広島県 |
| 太鼓焼き・太鼓饌 | 西日本各地 |
同じ菓子でも出身地によって呼び方が変わるため、SNSなどで「呼び方論争」が定期的に話題になります(uzurea.net「今川焼きの呼び方・名称について」、2026-10-26確認)。
まとめ:今川焼きは江戸の橋の名から広がり、地域ごとに呼び方が分かれた
- 今川焼きという名前は、江戸時代中期(安永年間)に神田の「今川橋」付近の店が売り出したことにちなみ、1777年刊行の『富貴地座位』にも記録が残る
- 2025年の全国調査では「今川焼き」19エリア、「大判焼き」15エリア、「回転焼き」9エリアで、関東・北陸は今川焼き、近畿は今川焼きと回転焼きが拮抗、中国・四国は大判焼き、九州は回転焼きが優勢
- 関西でよく聞く「御座候」は一般名詞ではなく、兵庫県姫路市に本社を置く株式会社御座候の商品名・社名
- おやき(北海道・青森など)、二重焼き(広島)など、ほかにも地域独自の呼び方がある
和菓子の種類について他にも知りたい方は、たい焼きとは?やきんつばとは?、ういろうとは?の記事も参考にしてください。和菓子全体の分類を知りたい方は和菓子の種類を徹底解説もご覧ください。
参考情報
- 語源由来辞典「今川焼き/いまがわやき」(https://gogen-yurai.jp/imagawayaki/、2026-10-26確認)
- 発祥の地コレクション「神田今川橋が発祥の『今川焼』」(https://840.gnpp.jp/imagawayaki/、2026-10-26確認)
- ITmedia nlab「“中に具材を入れて焼いた円形の厚焼き和菓子”を何と呼ぶ?47都道府県別・呼び方の勢力図」(https://nlab.itmedia.co.jp/cont/articles/3644181/、調査実施:ニチレイフーズ企画・クロス・マーケティング実施、2025年10月10日〜19日、回答者14,057人、2026-10-26確認)
- uzurea.net「今川焼き、大判焼き、回転焼きから御座候まで。今川焼の呼び方・名称について」(https://uzurea.net/about-name-of-imagawayaki/、2026-10-26確認)
- マイナビ「株式会社御座候 会社概要」(https://job.mynavi.jp/26/pc/search/corp207690/outline.html、2026-10-26確認)
- ウィキペディア「御座候」(https://ja.wikipedia.org/wiki/御座候、2026-10-26確認)
- 経済産業省・総務省「経済構造実態調査」2022年、品目編 — 都道府県別の和生菓子出荷金額(e-Stat 政府統計の総合窓口、https://www.e-stat.go.jp/)


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