茨城の和菓子おすすめ完全ガイド|2つの老舗が守る「水戸の梅」と吉原殿中の由来

茨城の和菓子おすすめ完全ガイド|2つの老舗が守る「水戸の梅」と吉原殿中の由来 老舗・名店

最終更新: 2026-10-10

茨城の和菓子といえば、水戸銘菓「水戸の梅」を思い浮かべる方が多いでしょう。経済産業省・総務省の経済構造実態調査(2022年、品目編)によると、茨城県の和生菓子出荷額は8,765百万円・16事業所で、全国47都道府県中21位です(e-Stat調べ、2022年時点)。事業所数の16は全国で2番目に少なく、最少の沖縄県(13事業所)に次ぐ規模ですが、1事業所あたりの出荷額は全国平均の2.1倍と高く、少数の店が高い生産効率を支えている点が特徴です。

この記事では、「水戸の梅」を明治時代から作り続ける亀印製菓(嘉永5年/1852年創業)と木村屋本店(万延元年/1860年創業)という2つの老舗、そして江戸末期に生まれた「吉原殿中」を今に伝える郡司製菓工場(1951年創業)を、統計データとあわせて紹介します。同じ銘菓を複数の老舗が商標組合のもとで分担して作り続けているという、珍しい成り立ちが茨城の和菓子文化の特徴です。

茨城県の和菓子事情を数字で見る

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経済産業省・総務省の経済構造実態調査(2022年、品目編)から、茨城県の和生菓子産業の規模を確認します。

項目 茨城県
和生菓子 出荷額 8,765百万円(全国21位/47)
和生菓子 産出事業所数 16事業所(全国で2番目に少ない)
1事業所あたり出荷額 約547.8百万円

全国平均(出荷額合計450,715百万円÷事業所数合計1,734事業所)は1事業所あたり約259.9百万円のため、茨城県の1事業所あたり出荷額は全国平均の約2.1倍です。三重県(全国平均の2.2倍)に近い水準で、事業所数が少ない分、各店が規模を持って生産している構造がうかがえます。業界全体の都道府県別ランキングは和菓子業界の統計まとめページでも確認できます。

なぜ茨城には「同じ銘菓を複数の老舗が作る」文化があるのか

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茨城県の和菓子を調べていくと、「水戸の梅」という一つの銘菓を、亀印製菓と木村屋本店という生まれも由来も異なる2つの老舗が、今も並行して作り続けている点が特徴的です。和菓子の歴史をたどると、水戸の梅が誕生した明治時代以降、水戸には同種の梅菓子を作る店が複数生まれました。1963年に水戸菓子工業協同組合が「水戸の梅」を商標出願し、1965年に登録されたことで、組合に加盟する複数の店が同じ名称で梅菓子を作り続けられる仕組みが整いました。

この登録商標を使用できるのは現在5社とされ、亀印製菓・木村屋本店のほか、あさ川製菓(事業譲渡により生産継続)などが名を連ねます。一つの街の看板菓子を、競合というより「分担」する形で複数の老舗が守っているのが、茨城の和菓子文化の珍しい特徴といえます。

「亀印製菓」— 嘉永5年創業、「水戸の梅」を1892年に生んだ老舗

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亀印製菓は、嘉永5年(1852年)に創業者・林亀吉が水戸で梅干の製造を主とする漬物商を始めたのが起源です。2代目の時代、明治25年(1892年)に、水戸藩9代藩主・徳川斉昭が紫蘇巻き梅干しを参考に菓子を作らせたという藩の記録にヒントを得て、煉った白餡を紫蘇の葉でくるんだ菓子を「星の梅」として発売しました。3代目の時代に「水戸の梅」へ改名され、大正年間には宮中にも献上されたと伝わります。

項目 内容
店名 亀印製菓(かめじるしせいか)
創業 嘉永5年(1852年)
所在地 茨城県水戸市見川町
代表銘菓 水戸の梅(こし餡を紫蘇の葉で包んだ求肥菓子)、吉原殿中

「水戸の梅」の生みの親という立場でありながら、現在は小売部門を軸に経営を続けている点が、亀印製菓の近年の特徴です。

「木村屋本店」— 万延元年創業、同じ「水戸の梅」を守るもう一つの老舗

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木村屋本店は、万延元年(1860年)創業の老舗で、現在6代目の木村智彦さんが和菓子作りを続けています。水戸駅近くに店を構え、太平洋戦争による焼失や東日本大震災の被害を経て再建してきた歴史を持ちます。

亀印製菓とは生まれの異なる店ですが、同じ「水戸の梅」(小豆こし餡を求肥で包み、蜜漬けの紫蘇の葉でくるんだ菓子)を160年以上にわたり作り続けている点が共通しています。

項目 内容
店名 木村屋本店(きむらやほんてん)
創業 万延元年(1860年)
所在地 茨城県水戸市南町
代表銘菓 水戸の梅(こし餡を求肥で包んだ菓子)

創業から170年近くを経た現在も、6代続く家族経営で同じ味を守り続けている点が、木村屋本店の特徴です。

「郡司製菓工場」— 1951年創業、徳川斉昭ゆかりの「吉原殿中」を伝える

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吉原殿中は、水戸藩9代藩主・徳川斉昭が、農民の労をねぎらって作らせた銅像に供えた米を、吉原という名の家臣が集めて作ったと伝わる菓子で、江戸末期の水戸藩に由来します。斉昭が倹約の例としてこの菓子を評価し、家臣・吉原の名を取って名付けたとされています。

現在この吉原殿中を伝統的な製法で作り続けているのが、1951年創業の郡司製菓工場です。炒った餅あられを水飴で固め、きな粉と水飴の皮で包んで引き延ばした、素朴な甘さとやわらかな食感が特徴の菓子です。

項目 内容
店名 郡司製菓工場(ぐんじせいかこうじょう)
創業 1951年
所在地 茨城県水戸市
代表銘菓 吉原殿中(あられ×きな粉の引き菓子)

江戸末期の藩主ゆかりの由来を持つ菓子を、戦後創業の専門店が今に伝えている点が、郡司製菓工場の特徴です。

茨城の銘菓はどこで買える? 選び方のポイント

シーン おすすめの店 選び方のポイント
「水戸の梅」生みの親の味を確かめたい 亀印製菓(水戸の梅) 嘉永5年創業、1892年に「星の梅」として考案した元祖
170年続く家族経営の味を楽しみたい 木村屋本店(水戸の梅) 万延元年創業、6代目が今も製造を続ける老舗
藩主ゆかりの素朴な菓子を味わいたい 郡司製菓工場(吉原殿中) 1951年創業、徳川斉昭ゆかりの由来を伝える専門店

いずれも水戸市内に店を構え、江戸時代後期から明治期にルーツを持ちます。「水戸の梅」の食べ比べをするなら亀印製菓と木村屋本店の両方を、藩主ゆかりの歴史を味わうなら郡司製菓工場の吉原殿中を選んでみてはいかがでしょうか。和菓子選びに迷ったときは和菓子の選び方ガイドもあわせて参考にしてください。

編集部メモ: 統計データを見ると茨城県は事業所数が16と全国で2番目に少ない一方、1事業所あたり出荷額は全国平均の2.1倍でした。これまで取り上げた三重県(全国平均の2.2倍)とほぼ同水準の高さで、少数の店に生産が集中する構造だとわかりました。調べてみると、その少数の店の中に、同じ「水戸の梅」という一つの銘菓を2社が商標組合のもとで分担して作り続けているという珍しい成り立ちがあり、茨城県の和菓子産業が小規模ながら特色ある構造を持っていることが見えてきました。

茨城の和菓子に関するよくある質問

Q1: 茨城を代表する和菓子は何ですか?

水戸の「水戸の梅」(亀印製菓・木村屋本店が製造)と「吉原殿中」(郡司製菓工場が製造)が代表的な銘菓です。

Q2: 「水戸の梅」はどこの店が作っていますか?

1965年に登録された商標を使用できる5社のうち、現在も製造を続けているのは亀印製菓・木村屋本店・あさ川製菓(事業譲渡により生産継続)などです。

Q3: 「水戸の梅」はいつからありますか?

亀印製菓の2代目が明治25年(1892年)に「星の梅」として発売し、3代目の時代に改名されたと伝わります。

Q4: 「吉原殿中」とはどんな菓子ですか?

徳川斉昭ゆかりの由来を持つ、炒った餅あられをきな粉と水飴の皮で包んだ菓子です。現在は1951年創業の郡司製菓工場が伝統的な製法で作り続けています。

Q5: 茨城県は和菓子の生産が盛んなのですか?

経済産業省の経済構造実態調査(2022年)によると、茨城県の和生菓子出荷額は8,765百万円で全国21位、事業所数は16と全国で2番目に少ない一方、1事業所あたりの出荷額は全国平均の2.1倍です。

関連記事: 福島の和菓子おすすめ完全ガイド|江戸時代の老舗2店と戦後生まれのロングセラー、郡山・会津の銘菓3店を解説

まとめ: 茨城の和菓子は、2つの老舗が分担して守る「水戸の梅」が特徴

  • 茨城県の和生菓子出荷額は8,765百万円(16事業所)で全国21位。事業所数は全国で2番目に少ない一方、1事業所あたりの出荷額は全国平均の2.1倍です(経済構造実態調査2022年)。
  • 亀印製菓(嘉永5年創業)は、明治25年に「水戸の梅」を「星の梅」として生んだ元祖です。
  • 木村屋本店(万延元年創業)は、亀印製菓とは別の由来を持ちながら、同じ「水戸の梅」を160年以上作り続けています。
  • 郡司製菓工場(1951年創業)の「吉原殿中」は、徳川斉昭ゆかりの由来を今に伝える専門店です。

茨城の和菓子は、一つの銘菓「水戸の梅」を複数の老舗が商標組合のもとで分担して守り続けているという、珍しい成り立ちに特徴があります。元祖の味を確かめるなら亀印製菓、170年続く家族経営の味を楽しむなら木村屋本店、藩主ゆかりの歴史を味わうなら郡司製菓工場の吉原殿中と、目的に応じて選んでみてください。

この記事は和菓子道編集部が執筆しました。和菓子道は和菓子職人のキャリアと和菓子文化に特化した専門メディアです。

詳しくは編集部についてをご覧ください。

参考情報

  • 経済産業省・総務省「経済構造実態調査」2022年(e-Stat 政府統計の総合窓口、https://www.e-stat.go.jp/)
  • Wikipedia「水戸の梅」(https://ja.wikipedia.org/wiki/水戸の梅)
  • Wikipedia「亀印製菓」(https://ja.wikipedia.org/wiki/亀印製菓)
  • 亀印製菓公式サイト「水戸銘菓 亀じるしオンライン」(https://www.kamejirushi.co.jp/)
  • 老舗map「木村屋本店・うさぎ上用と水戸の梅」(https://shinise.tv/kimuraya-mito/)
  • 老舗map「亀じるしの吉原殿中・天満月・五三かすていら」(https://shinise.tv/kamejirushi-mito/)
  • 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑:吉原殿中」(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/menu/yosiwaradentyu.html)
  • 郡司製菓工場公式サイト(https://www.gunjiseika.com/)



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