三重の和菓子おすすめ完全ガイド|赤福だけじゃない、お伊勢参りの旅人が支えた老舗3店を徹底解説

三重の和菓子おすすめ完全ガイド|赤福だけじゃない、お伊勢参りの旅人が支えた老舗3店を徹底解説 老舗・名店

最終更新: 2026-10-08

三重の和菓子といえば伊勢の赤福を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし三重県には、東海道と伊勢参宮道という江戸時代の二大交通路沿いに、赤福と同じかそれ以上に長い歴史を持つ老舗が複数存在します。経済産業省・総務省の経済構造実態調査(2022年、品目編)によると、三重県の和生菓子出荷額は15,723百万円・28事業所で、全国47都道府県中11位です(e-Stat調べ、2022年時点)。静岡県などと並び、東海地方の中でも上位の規模を持つ県といえます。

この記事では、四日市の「なが餅」で知られる笹井屋(天文19年/1550年創業)、桑名の「安永餅」で知られる永餅屋老舗(江戸時代初期創業)、松阪の「老伴」で知られる柳屋奉善(天正3年/1575年創業)という3つの老舗を、統計データとあわせて紹介します。

三重県の和菓子事情を数字で見る

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経済産業省・総務省の経済構造実態調査(2022年、品目編)から、三重県の和生菓子産業の規模を確認します。

項目 三重県
和生菓子 出荷額 15,723百万円(全国11位/47)
和生菓子 産出事業所数 28事業所
1事業所あたり出荷額 約561.5百万円

全国平均(出荷額合計450,715百万円÷事業所数合計1,734事業所)は1事業所あたり約259.9百万円のため、三重県の1事業所あたり出荷額は全国平均の約2.2倍にあたります。事業所数自体は28と全国的に見て少ない一方、出荷額は上位11位につけており、少数の事業所が大きな生産規模を持つ構造がうかがえます。業界全体の都道府県別ランキングは和菓子業界の統計まとめページでも確認できます。

なぜ三重に「餅」の老舗が集中しているのか

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三重県の和菓子を調べていくと、赤福をはじめ、笹井屋・永餅屋老舗・柳屋奉善と、いずれも「餅」を素材にした菓子を看板商品としている老舗が目立ちます。和菓子の歴史をたどると、江戸時代の三重県は東海道(桑名宿・四日市宿)と伊勢参宮道という2つの大動脈が通る土地でした。参勤交代の大名行列や「お伊勢参り」で伊勢神宮を目指す旅人が絶えず往来したことで、手早く食べられて腹持ちの良い餅菓子が、各宿場・街道沿いの土産物として発展したと考えられます。結果として、創業時期も立地(四日市・桑名・松阪)も異なる老舗が、同じ東海道・伊勢参宮道という街道文化を背景に、それぞれ独自の餅菓子を育ててきました。

「笹井屋」— 天文19年創業、藤堂高虎も愛した「なが餅」

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笹井屋は、天文19年(1550年)に初代・彦兵衛が、東海道と伊勢参宮道の追分にあたる「日永(ひなが)の里」(現在の四日市市日永)で、地名にちなんだ「なが餅」を作り始めたのが始まりです。つぶあんを詰めた餅を伸ばし、両面を香ばしく焼いた素朴な菓子で、現存する「なが餅」系の菓子屋の中では最古とされています。

まだ足軽だった頃の武将・藤堂高虎が、出世払いで笹井屋のなが餅を食べ、「武運のながき餅を食うは幸先よし」と大いに気に入ったという逸話が伝わっています。高虎は後に大名となってからも、何度も店に立ち寄ったと言われています。

項目 内容
店名 笹井屋(ささいや)
創業 天文19年(1550年)
所在地 三重県四日市市北町5-13
代表銘菓 なが餅

なが餅は約480年近く、素朴な製法を守り続けている点が特徴です。藤堂高虎の逸話は、和菓子が武士の立身出世の願いとも結びついてきたことを物語る、三重らしい菓子文化の一つといえます。

「永餅屋老舗」— 江戸初期創業、桑名宿の「安永餅」

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永餅屋老舗は、東海道五十三次の中でも最も賑わったとされる桑名宿の安永(やすなが)の地で、江戸時代初期に「安永屋」として創業しました。専門メディアでは寛永11年(1634年)創業と紹介されることもあります。参勤交代の大名や伊勢参りの旅人に親しまれ、桑名を代表する銘菓として今日まで受け継がれています。

安永餅は、つぶあんを詰めた薄く長い形の餅で、表面にほのかな焦げ目をつけているのが特徴です。かつては牛の舌の形に似ていることから「牛の舌餅」とも呼ばれていました。現在は明治27年(1894年)の関西線開通にあわせて移転した現在地で製造・販売を続けています。

項目 内容
店名 永餅屋老舗(ながもちやろうほ)
創業 江戸時代初期(安永屋として創業、寛永11年/1634年との紹介もある)
所在地 三重県桑名市有楽町35(明治27年より現在地)
代表銘菓 安永餅

添加物を使用しない製法を守っており、現在は桑名市内に安永餅を作る店が2軒(永餅屋老舗・安永餅本舗柏屋)あることも、この菓子が地域に根付いている証といえるでしょう。

「柳屋奉善」— 天正3年創業、近江から松阪へ移った「老伴」

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柳屋奉善は、天正3年(1575年)に近江国(現在の滋賀県日野町)で創業しました。織田信長の娘婿である蒲生氏郷に仕えた近江商人が菓子司として創業し、天正16年(1588年)に氏郷の松阪移封に同行して松阪へ移転したという、他の2店とは異なる成り立ちを持っています。

看板商品「老伴(おいのとも)」は、表は最中、裏は羊羹という組み合わせの菓子です。最中の種類と特徴、羊羹の種類と違いという2つの和菓子を一つにまとめた意匠といえます。砂糖蜜でコーティングした後、一晩かけてゆっくり乾燥させることで、すりガラスのような美しい表面に仕上げるのが特徴です。もとは「古瓦」という名でしたが、安政2年(1855年)に「老いても傍に寄り添う」という意味を込めて「老伴」に改名されました。1869年(明治2年)には明治天皇へ銘菓「桐葉山」を献上した記録も残っています。

項目 内容
店名 柳屋奉善(やなぎやほうぜん)
創業 天正3年(1575年)、近江国で創業。天正16年(1588年)に松阪へ移転
所在地 三重県松阪市中町1877
代表銘菓 老伴(最中+羊羹)、桐葉山

創業から450年以上を経た現在も、最中と羊羹を組み合わせるという独特の意匠を守り続けている点が、柳屋奉善の大きな特徴です。

三重の老舗餅菓子はどこで買える? 選び方のポイント

シーン おすすめの店 選び方のポイント
現存最古の「なが餅」を味わいたい 笹井屋(なが餅) 天文19年創業、藤堂高虎の逸話が残る四日市の素朴な焼き餅
東海道の宿場町土産を楽しみたい 永餅屋老舗(安永餅) 桑名宿の旅人に親しまれた、つぶあん入りの長い焼き餅
最中と羊羹を一度に味わいたい 柳屋奉善(老伴) 表最中・裏羊羹という珍しい意匠、乾燥仕上げの美しい見た目

いずれの店も江戸時代以前にルーツを持ち、東海道・伊勢参宮道という街道文化と深く結びついています。伊勢の赤福とあわせて、旅人を支えてきた三重の餅菓子文化を食べ比べてみるのも面白いでしょう。和菓子選びに迷ったときは和菓子の選び方ガイドもあわせて参考にしてください。

編集部メモ: 統計データを見ると三重県は事業所数28と全国的に少ない部類ですが、1事業所あたりの出荷額は全国平均の2.2倍という珍しい構造でした。調べてみると、笹井屋・永餅屋老舗・柳屋奉善はいずれも創業450年前後と非常に古い一方、立地(四日市・桑名・松阪)も成り立ち(地元創業・近江からの移転)も異なり、単一の産地に集中するのではなく東海道・伊勢参宮道という街道沿いに分散して発展してきた点が印象的でした。

三重の和菓子に関するよくある質問

Q1: 三重を代表する和菓子は何ですか?

伊勢の赤福餅が最も有名ですが、四日市の「なが餅」(笹井屋)、桑名の「安永餅」(永餅屋老舗)、松阪の「老伴」(柳屋奉善)も、いずれも450年前後の歴史を持つ老舗の銘菓です。

Q2: 「なが餅」と「安永餅」は何が違いますか?

どちらもつぶあん入りの長い焼き餅で似ていますが、なが餅は四日市市日永の笹井屋(1550年創業)、安永餅は桑名市の永餅屋老舗(江戸初期創業)が発祥で、別の街道・宿場で独立して発展した菓子です。

Q3: 柳屋奉善の「老伴」はどんな菓子ですか?

表は最中、裏は羊羹という組み合わせの菓子です。1575年に近江国で創業した柳屋奉善が1588年に松阪へ移った後、安政2年(1855年)に「老伴」と改名されました。

Q4: 三重県は和菓子の生産が盛んなのですか?

経済産業省の経済構造実態調査(2022年)によると、三重県の和生菓子出荷額は15,723百万円で全国11位、事業所数は28。1事業所あたりの出荷額は全国平均の約2.2倍と、少数の事業所が大きな生産規模を持つ構造です。

Q5: 三重の老舗餅菓子はどこで買えますか?

笹井屋は四日市市北町の本店、永餅屋老舗は桑名市有楽町の本店、柳屋奉善は松阪市中町の本店で購入できます。いずれも各店の公式サイトで営業時間や店舗情報を確認できます。

関連記事: 福島の和菓子おすすめ完全ガイド|江戸時代の老舗2店と戦後生まれのロングセラー、郡山・会津の銘菓3店を解説

まとめ: 三重の和菓子は、東海道と伊勢参宮道が育てた餅菓子文化

  • 三重県の和生菓子出荷額は15,723百万円(28事業所)で全国11位。1事業所あたりの出荷額は全国平均の約2.2倍です(経済構造実態調査2022年)。
  • 笹井屋(1550年創業)の「なが餅」は、現存する「なが餅」系の菓子屋で最古とされ、藤堂高虎の逸話が残ります。
  • 永餅屋老舗(江戸初期創業)の「安永餅」は、東海道随一の賑わいを誇った桑名宿の名物として発展しました。
  • 柳屋奉善(1575年創業)の「老伴」は、表最中・裏羊羹という珍しい意匠で、近江から松阪へ移った老舗が守り続けています。

三重の和菓子は、伊勢の赤福だけでなく、東海道と伊勢参宮道という街道文化が育てた複数の老舗餅菓子によって支えられています。現存最古の焼き餅を味わうなら笹井屋、宿場町の歴史を感じるなら永餅屋老舗、最中と羊羹の組み合わせを楽しむなら柳屋奉善と、目的に応じて選んでみてはいかがでしょうか。

この記事は和菓子道編集部が執筆しました。和菓子道は和菓子職人のキャリアと和菓子文化に特化した専門メディアです。

詳しくは編集部についてをご覧ください。

参考情報

  • 経済産業省・総務省「経済構造実態調査」2022年(e-Stat 政府統計の総合窓口、統計表ID: 0004048564、https://www.e-stat.go.jp/)
  • 笹井屋公式サイト「笹井屋について」(https://nagamochi.co.jp/about-us/)
  • shinise.tv「なが餅笹井屋の なが餅は、なが餅系で現存最古」(https://shinise.tv/sasaiya-yokkaichi/)
  • 永餅屋老舗公式サイト(https://www.nagamochiyarouho.co.jp/)
  • shinise.tv「安永餅の永餅屋老舗で、ソウルフード安永餅を食べる」(https://shinise.tv/nagamochiya-kuwana/)
  • 柳屋奉善公式サイト(https://yanagiya-houzen.co.jp/)
  • 和菓子マルシェ「松阪の歴史に寄り添い450年 永遠の幸を伴にする縁起菓子」(https://wagashi-marche.jp/20250903/)




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